【A10】 ○
◎ 私立は同じ価値観の家庭が集まるので話が合う
◎ 授業内容が充実。小学生でテーブルマナー・能楽鑑賞なども
◎ 先生が継続して見守ってくれる
「はい。環境が良く、受験する価値があります」というのは、小学校受験の専門サイト「お受験じょうほう」を運営するバレクセルの野倉学さん。
バレクセルの野倉学さん
私立小のメリットは何でしょうか。
「何より、同じ価値観を持った保護者が集まっていること。全員がお金持ちではないけれど、学費にはお金をかけようとか、愛情のこもったお弁当作りは必要とか、宗教教育もあったほうがいいのでは、とか、保護者会で集まっても話が合うんです。これが公立なら、極端に価値観の違う家庭がある場合も。まれなケースかもしれませんが、子どもが公立小に進んだら学級崩壊していて、2学期からは私立小に編入させたという人もいます」
また、私立小には建学の理念や明確な学校方針があるのも特徴です。それに沿ったカリキュラムを組むので、質が高く、充実した内容の授業も魅力です。自身が女子大附属の小・中・高に通い、東大医学部を卒業したYさんは、「小学校で礼法という授業がありました。レストランに行ってテーブルマナーを学んだり、能楽を見に行ったり。そういう体験ができるのは楽しかったですね」
「お受験じょうほう」サイトの私立小情報コーナーで、いくつかの私立小の特徴を見ると、「1年生から英語で授業」「学校にプラネタリウムがある」「海外のキャンプに参加」など、小学校とは思えない充実ぶりに驚きます。こうした授業には、それぞれの学校の個性や教育方針が色濃く出ます。
野倉さんは、私立と公立とで先生の待遇の違いもあると指摘します。「私立は、経営努力をします。例えば、英語教育やアフタースクールなどを取り入れている私立は多いです。また、公立の先生は数年で転勤してしまいますが、私立では定年までの約40年間と長い期間、同じ学校でじっくり腰を据えて教育に携われます。子ども達にとっても、成人して様々なことで悩んだときに頼れる場があるということです」
もちろん、公立小の質は、住んでいる地域によってばらつきがあるようです。「公立小にも良い先生はいます。ただし、学力の差は大きいようです。公立小は全体の中の中くらいの層を意識して授業を行うのが通常のようです」と野倉さん。
最近は、公立小も通学区域に関係なく選べたり、特色ある学校を希望して通えたりする制度があります。自宅から歩いてすぐの小学校ではなく、伝統校だからとか、理数に力を入れているからとか、理由があってバスや電車で離れた公立小に通わせる家庭の話も聞きます。「公立小を事前に参観したり、評判を聞いたりして、授業の内容や先生の熱意を厳しく評価する親もいます。人気のある学校と、そうでない学校とで児童数の差も出ています」
そうした極端な差がなく、安定した教育や学校生活を手に入れられるのは私立ということのようです。
では、私立小にデメリットはあるのでしょうか。次ページから詳しく見ていきましょう。