【A1】 ×
◎ 東京郊外ではほとんどが受験しない
◎ 都全体で見ると、受験率は約28%。千葉・神奈川・埼玉はそれぞれ約14%程度
◎ 都内はエリアによって違う。世田谷区は3人に1人が私立へ
小学生の子どもを持つ親にとって、中学入学時の受験をさせるべきかどうかは大きな関心事でしょう。いったん受験を勝ち抜いて入りさえすれば、中学の3年間と高校の3年間の教育を一貫して一つの学校で受けられるという「中高一貫校」が高い人気です。
情報誌『進学レーダー』編集長の井上修さん
周りのみんなはわざわざ受験をして、地元の中学校以外の私立や公立の中高一貫校に進むことを考えているのでしょうか?
「『はい』とも『いいえ』とも言えます」
そう話すのは、進学塾日能研グループの情報誌『進学レーダー』編集長の井上修さんです。「都内は地域によりますね。例えば、私学出身の親が多い世田谷区や目黒区は、私立志向が強いかもしれません」
世田谷区によると、2016年に私立中に進学したのは小学校全体の約32%。3人に1人が私立に入った計算です。東京都全体で見ると受験率は約28%(日能研の調査による)。受験率と進学率は異なるものですが、世田谷区は割合が高いといえます。ちなみに、千葉・神奈川・埼玉ではそれぞれ受験率は約14%程度で、1都3県を合わせると、ここ10年間の受験率は大体2割前後でした。
こうした数字からも見えてくるように、中学受験に熱心なのはほんの一部。その他の地域では、一般的には地元の中学校に進学していることが分かります。
出所:日能研
大手塾に6年生の最後まで通った子は数名
「エリアによると思います」と話すのは、6年生の長男が受験を控える、神奈川県在住のAさん。「隣駅近くの公立小学校ではクラスの8割が受験すると聞いていますが、わが家のエリアでは半々。学年によってもバラバラです。今年の6年生は受験が少なく、周りの理解を得られにくいです」
都内の下町エリアに住むBさん(長男が都立の中高一貫校に進学。私立も併願)によると、「同じ小学校で受験したのは、5分の1くらいでした。隣の区はかなり受験すると聞くので、エリア差は感じています」
長男の学年では、SAPIXや早稲田アカデミーなどの大手塾に6年生の最後まで通った子は数名だったといいます。「4年生のときにわーっとみんな塾に行き始めるけど、途中でやめちゃう。このエリアは、のんびりした自営の家庭が多いからじゃないかと想像しています。会社員の家庭では子どもの受験に対して父親がヒートアップするという話をよく聞きます」(Bさん)
東京郊外に住むパパのCさんは、「5年生の長男が私立を目指していますが、わが家のある多摩地区ではほとんどの子が受験しません。都心より受験組が極端に少なく、30人クラスに1人か2人。それも私立ではなく、公立の中高一貫校狙いが多いです」。国家公務員宿舎のあるエリアはもう少し受験率が高く、感覚として3割くらいだそうです。
もちろんエリア以外でも、家庭ごとに考え方の違いがあります。すごく成績が良くても中学受験はしないという方針の家庭では、地元中学から名門の日比谷高校に受かったケースがあり、逆に、成績はそれほど良くなくても、「女の子なので安心できる私立に中学から行かせた」というケースもあるようです。
では、一部の家庭が中学受験に熱心になる理由は何でしょうか。次ページより見ていきましょう。