ぜんそくは、気管支が狭くなり、呼吸しにくくなる病気
「ぜんそく」とはどんな病気か端的に説明できますか?
簡単に言うと、気管支が常に炎症を起こしていてアレルゲンに反応する(発作)と、気管支が狭くなり、呼吸がしにくくなるという病気。正確に言うと、息を吐きにくくなる病気です。
発作が起こると呼吸が苦しくなり、ヒューヒュー、ゼーゼーと特有の音が出ます。呼吸をしにくいので、鎖骨のあたりの皮膚がベコベコとへこむ、陥没呼吸が見られることもあります。
正常な気管支と、発作時の気管支をイラストで見てみましょう。
『小児ぜんそくの悩みをみるみる解消する200%の基本ワザ』勝沼俊雄監修(日東書院本社)より
東京慈恵会医科大学・附属第三病院・小児科診療部長の勝沼俊雄先生
「子どもが風邪を引いたかな」と思って病院に連れていったら「ぜんそく気味ですね」と言われた、なんてことはありませんか? そのとき出された薬を後で調べたらぜんそく用の薬だった、なんていうことも乳幼児のお子さんを持つ親御さんには多いかもしれません。おそらくこのようなときはゼーゼーするぜんそくのような症状が出ているはずです。
これは、医師が「ぜんそく様気管支炎」と呼ぶ、いわば“ぜんそくもどき”という症状です。
ぜんそくもどきがなぜ起こるかというと、子どもは体格が小さいので気管支も大人より細く、風邪で粘膜がむくむと、空気が通るところが一層狭くなるからです。その結果、ぜんそくではなくても、呼吸の際にゼーゼー、ヒューヒューと音が鳴るような状況になってしまいます。
そんな症状の子どもを受診させた場合、医師はぜんそくか風邪かを完璧に見分けることはできません。入院が必要となるような大きな発作であれば、ぜんそくだと診断して治療が進められますが、「① しつこい咳」、「② 少しゼーゼー、ヒューヒュー言う」という症状だけでは、ぜんそくという診断を下すことができません。そこで医師はしばしば「ぜんそく気味ですね」と言うのです。単なる咳止め薬では咳が治まらないかもしれないため、風邪にも使える軽症のぜんそくの薬を出す医師もいます。
「ぜんそく気味」の症状が何度か繰り返し、風邪を引くと必ずゼーゼー言う、時にはかなりつらそうなこともあると、この「気味」が外れて、「ぜんそく」と診断されます。親もぜんそくだったり、アレルギー体質だったりということであれば根拠は十分です。血液検査もアレルゲンや抗体の値が分かるので治療の一助になります。