アンケートから浮かび上がった女性達の気持ち
いまの女性達は、出生前診断をどのように感じ、行動しているのか、アンケートを行ったことがある。NIPTが開始される直前の2012年11月、妊娠・育児情報サイト『ベビカム』(http://www.babycome.ne.jp/)の協力を得て、同サイトのユーザー150名を対象に実施した調査だ。
まず、前回の妊娠でどれくらいの人が、羊水検査や母体血清マーカー検査を受けているのかを見たところ、35歳以上の出産を経験したことがある母親57名のうち、羊水検査を受けたことがある人は11パーセント、母体血清マーカー検査を受けたことがある人は5パーセント(両方受けた人3パーセントを含む)だった。
ちなみにNIPTが登場する前の日本では、自発的に受ける出生前診断の大半がこの2種類だ。つまり、何らかの出生前診断を受けた人は高齢妊娠層の14パーセント程度にとどまっていた。これは、私がいくつもの病院で聞いた「高齢妊娠のうち、出生前診断を受ける人は1~3割程度」という話に重なる。
しかし次に、回答時年齢35歳以上の母親82名に「再び妊娠したらNIPTを受けますか?」という質問をしてみたところ、以下のグラフのようになった。「受ける」ときっぱり答えた人は15パーセント。
河合蘭・ベビカム インターネットによる共同調査 ※『出生前診断~出産ジャーナリストが見つめた現状と未来』(朝日新書)P52図表9から引用
一見、NIPTが登場しても女性たちの行動は変わらないようにも見えた。しかし、その背後には、「受けるかもしれない」と答えた人たちの存在があった。
そこで、「受ける」「受けるかもしれない」と答えた人を合わせたところ、39パーセントとなった。これは、「受けない」「たぶん受けない」と答えた人を合わせた38パーセントとほぼ同じであり、意見は真っ二つに割れる形となった。そして4人に1人は「わからない」と答えていた。