男子料理はみんなを笑顔にする! 家族や仲間との会話が増えるきっかけに
「メンズ・キッチン」の特徴は、月1回4時間の講習時間の中で、「料理」という共通の興味や目的を通じて様々な世代が交流し、料理の楽しさを存分に味わえること。最大30人の参加者が6人単位の班に分かれ、部活やサークルのような一体感の中、チームで数品を仕上げていきます。
関東圏を中心に、小笠原諸島や関西圏からも訪れるという参加者に共通しているのは、初参加の時点では、ほとんど包丁を持った経験がないということ。「料理には興味があるけれど、難しそう」「今は上手にできないけれど、大切な人においしい料理を作ってあげたい」という料理初心者でも1度のレッスンで数品をマスターできるように、男性好みのレシピ選びをはじめ、段取りの良いレッスン構成、和気あいあいとした雰囲気づくり、頻度や性格などを考慮したチーム(班)分けなど、「自分でもおいしい料理が作れる」「料理って楽しい!」と思わせてくれる工夫が随所に盛り込まれています。
年齢や肩書きは関係なし! プロジェクトのようなチームワークと一体感で、料理の楽しさに目覚める参加者達
2010年、“男子料理がみんなを笑顔にする”をコンセプトに「メンズ・キッチン」を始めた男子料理研究家の福本陽子さん。ただレシピ通りに作るだけではなく、「なぜ、そうするのか」「どんな応用ができるのか」など料理にまつわる物語まで大切にした、理論的で分かりやすいレッスンスタイルが好評です。
男子料理研究家の福本陽子さん
男性×料理という組み合わせが、家庭ではまだ浸透していなかった当時に、あえて“男性限定”というスタイルを取った理由は何でしょうか。
「メンキチ(以下、メンズ・キッチンの略)を始める前に住宅関連のマーケティング・コンサルティングの仕事をしていたのですが、人が住む家だけが充実しても、中に住む人の暮らしが充実しないと本当の幸せはないのではと感じたんです。30代・40代は働き盛りで、遅い時間に家へ帰ってきても夫婦の会話がない、話したいことも話せないという話を女性からよく聞きました。自然に会話を作る良い方法はないかと考えたとき、食事をしているときは会話が増えるので、さらに『一緒に料理を作る』という所から男性が参加したときに、子育ての苦労や親の介護など普段言いにくい色々なこともさりげなく話せる機会ができるのではないかと考えました」と、親しみやすい笑顔が印象的な福本さん。
男性が料理をすることで、家族みんなが集まり、共通の話題が増える。夫婦の会話が弾み、パパと子どもの時間も増える――。
「義務感からでは続かないと思うんです。家事の分担や男女平等だからということではなく、純粋に『料理は楽しい』ということを男性にお伝えすれば、義務ではなく継続性が生まれます。男性が料理の楽しさを知ることを通じて、女性を幸せにしたい。ただレシピを教えているのではなく、作ることでその先にどれだけ楽しいことが生まれてくるかを大切にしています」
初心者の男性も楽しめる工夫や参加者のニーズを丁寧に盛り込んで順調に生徒を増やし、開始から6年。今では募集をかけた途端に数分で定員が埋まってしまうほどの人気講座となり、「料理を始めてみたい」という男性を「ここなら初めてのパパ(彼)でも大丈夫なんじゃないか」と、女性が調べて申し込みをすることも少なくないそう。参加者のリピーター率も高く、料理を教えた男性は6年で3000人以上。著書『料理ができる男は無敵である』(サンマーク出版)は、今年9月に韓国でも出版され、海を越えて大きな反響を呼んでいます。
実際にレッスンはどんな流れで進んでいくのか? 30人の男性が真剣に学び、笑い合い、交流を楽しむ“大人の男子合宿”のような様子を、次のページから詳しく紹介していきます。