苦楽を共にし、夫婦が長い結婚生活を送っていくうえで、一度も離婚を考えたことのない人のほうが少数派です。
夫婦問題研究家・ライフアップカウンセラーの岡野あつこさん
1991年から離婚カウンセリングを始め、3万件以上の夫婦の問題解決に取り組んできた岡野さんは、「夫婦だからこそ他人には言えないようなことで衝突し、八つ当たりもしますし甘えも出ます。お互いにそれが許容範囲であれば、元のさやに納まってしまうのが夫婦というもの。しかし、周囲の冷静な人間が客観的に見れば、お互い離婚などしたくないはずなのに感情的にもつれてしまっているケースも多々あります。相手や自分自身を冷静に見つめ直すことなく、勢いで離婚をしてしまうというのは早急過ぎます」とアドバイス。
“離婚カウンセラー”というと離婚を奨励すると捉えがちですが、「離婚以外の方法で解決できるならば、それが家族にとって一番良い」というのが、基本的な考え方なのだそう。実際、夫婦のコミュニケーションを改善したり、思いやりを持って接したりすることで夫婦の危機を乗り越える夫婦も多く、相談者の3分の2くらいには、まず「離婚」以外の解決方法を勧めているといいます。
「残りの3分の1が、『離婚』という解決方法しか見当たらない場合です。例えば、『命に関わるほどの夫の暴力』『家庭崩壊一歩手前の借金』などという相談時には、相談者の安全確保はもちろんのこと、幸せになるための離婚に向けて最善の答えを導き出していきます」と岡野さん。
最近では子どものために我慢し続ける仮面夫婦より、本来の自分自身を取り戻して、生き生きと自立を目指し幸せになるために離婚する、という選択をする人も少なくないそうです。
普段の離婚相談の中で、離婚を考えている人に岡野さんが「これだけは!」と勧めていることが、以下の3つ。
自身も離婚を経験し、経済的に自立しながら一児を育て上げた経験を持つ岡野さん。「色々考えて、それでも離婚を決意したら…?」。DUAL読者に向けて、子どもに配慮した離婚についてのアドバイスをもらいました。
【その1】下手に隠さない
今の時代、お友達の家が離婚しているというケースもありますから、親が離婚を隠そうとしても分かっていることも多いもの。例えば夫が家を出る形で別居に至ったケースでは「パパはちょっと仕事で遅いから」などとごまかしがちですが、隠してしまうと「これは聞いてはいけないことだ」と認識してしまい、それが原因で情緒不安定になる可能性もあります。
実際に、お父さんが出ていってしまった家庭で、お母さんが子ども達二人にそのことを正直に伝えずに取り繕っていたら、小学校4年生の女の子が口を利かなくなってしまったという相談がありました。
そうした場合は「子どもだから」と蚊帳の外にするのではなく、「実は今、お父さんが家を出てしまっていて、お母さんは困っているんだけど、一緒に考えてくれる?」と対等な目線で話し合うことが大切です。
子どもの本当の気持ちも大切に。誘導尋問にならないよう、計画を先に立て過ぎないようにすることが大切