仕事を続けるより、得意なことを見つけて働きたい

 いざ外資系金融に入社をしてみたら、あまりの忙しさに驚いたといいます。その後、入社1年目で妊娠。子どもがいなくても大変なのに、子どもができてこの忙しい環境で働くのは無理だと思い、退社を決意しました。

 「今思うともっと頑張るべきときに、結婚をしていたことで逃げ道ができたのかもしれません。当時の先輩から『正直なところ君はまだ実績もない。同級生と結婚し、旦那さんは別の外資系の同じような部門にいる。男の側を採用していれば色々と配慮しなくてもよかった、という気持ちがないわけではないよ』といわれ、そのとおりだと。『ごめんなさい』を言いながら仕事を続けるのは辛いだろうなと思いました」

 そのとき、配慮してもらわないでいい働き方を探そう、それでも配慮してもらわないといけないときもあるから、得意分野を作ろう、と思ったそう。

 「みんなが夜中の3時まで働いている会社の場合、夜の10時に帰っても『ごめんなさい』と言わないといけない。みんなが夜の10時に帰る会社なら、民間の保育園に入ることができれば同じように働ける。“普通”が違う会社がいいと思いました」

公園で子どもを寝かせながら勉強。アメリカ公認会計士を取得

 辞めてみて、初めはすっきりした気持ちだったのですが、だんだんと仕事を途中で辞めてしまった挫折感が強くなりました。

 「人生の大きな挫折でした。同期がどんどん活躍していく中、自分は出産。もともと辞めたときに、子どもがいても強みを持って働きたいと考えていたので、得意だった英語力と会計の分野を生かせて、日本の公認会計士の試験よりも短い期間で合格ができるアメリカの公認会計士の試験を受けることにしました。同期を見ながらだんだん強くなる挫折感をバネに、そりゃもう必死で勉強しました(笑)

 「子どもを公園に連れていき、レジャーシートに寝かせて自分は勉強するという生活。そして、4カ月の子どもを母に預け、日本から一番近いグアムに行って受験し、無事に合格することができました」