子どもの「考える力」を育てる親子の習慣とは?
まず問題です。5歳の子どもが「お風呂の中では、なぜ手が軽くなるの?」と質問してきました。子どもを伸ばすには、何と答えるのがよいでしょう? 「自然界には浮力というものがあってね」などと、子どもの質問にできるだけ丁寧に答え、分かりやすく説明しようとするのは果たして正解でしょうか?
ベターな回答は「どうしてだろう? どうしてかな?」です。
十文字学園女子大学特任教授の内田伸子さん
「最近の親御さんは学力が高いので、子どもになぜ?と聞かれると、つい先生みたいに解説してしまう人が多いと思います。でもそれは、子どもの考える機会を奪うということ。浮力とは……の解説は学校の理科の先生に任せておけばよくて、『お風呂のお湯が下から押してるからかな?』などと子どもが自分なりに考えるのをぜひ手助けしてあげてください。『いい考えだね、よく考えたね』と共感を持って受け止めると、子どもは自分でどんどん考えようとする。実はこの習慣は、今の日本の子ども達に足りない“考える力”を家庭で育てるための良い方法なんです」と、十文字学園女子大学特任教授(専門は発達心理学・認知心理学・保育学)の内田伸子さんは話します。
5歳後半過ぎごろから、子どもは「なぜ?」を繰り返す“WHY質問期”に入ります。
「なぜ?と聞かれたときに親が正解を与えてしまうから、指示待ち族が増えていくのです。自分で考えるという成長の機会を奪っていたら、教育にどれだけお金を投資しても意味がないことになります。中学生くらいになって、親が宿題の解き方を教えてあげようとしても、それを遮り『いいから、それより答えを教えて』という子どもに育ってしまいますよ。私がよく言う、『大人の親切、子どもの迷惑』の結果です」(内田さん)
読み聞かせは「生きる力」を伸ばす大切な習慣
では、問題をもう一つ。自分でもう本を読める小学校2年生の子どもが、「読んで」と親に頼んできました。どうするのがよいでしょう?
正解は「読んであげる」です。
「すべて『自分で読みなさい』というのはよくありません。小学生のうちは、短い時間でも読み聞かせは続けてあげましょう。3年生くらいまでは文字を追うことに必死なので、深く行間に思いを馳せて読むことはなかなか難しいのです。高学年になったら、宮沢賢治の作品など、親自身も味わいながら読める作品を選んで読んであげてください。中学生以降は、同じ本を読んで感想を伝え合う習慣をつけるのもとてもいいと思います」
そもそも、文字を覚えさせる目的で読み聞かせをするのは間違い、と内田さんは指摘します。
「読み聞かせは、文字を覚えるのが目的ではありません。おなかの中にいるときから聞いていたお母さんやお父さんの声で、温もりや愛情に包まれながら、親子で物語の世界を進んでいく。人生の様々な出来事を乗り越えていけるようになるための、大切な体験なのです」
次ページから、考える力を育むために親子でどんなことを習慣にすればいいのか、子どもが自主的に勉強する“良い部屋”は何を意識すればいいか、など詳しく見ていきます。