右から、東レ経営研究所の塚越学さん、浦安市の松崎秀樹さん、新宿区の吉村晴美さん、サントリーホールディングスのダイバーシティ推進室室長・弥富洋子さん、日経DUAL編集長の羽生祥子
誤解されやすい「子育てしやすい企業」という表現
モデレーターを務めた日経DUAL編集長の羽生祥子
羽生編集長: 「子育てしやすい」という表現は誤解されやすいと感じています。「共働き子育てしやすい企業&街グランプリ2016」では、「いつまでも休んでていいよ」「3時半ぐらいになったら帰っていいよ」と言ってくれるような企業を「子育てしやすい企業」と捉えるのではなく、女性が活躍するという大きな背景があり、男性も女性も子育てと両立してキャリアを推進していける企業なのかどうかを評価の背骨にしています。
代表的な4つの評価ポイントを説明します。まずは在宅勤務。実用性や利用率も見ました。次に育休については、女性の取得は当たり前になりつつありますが、男性の育休取得率に注目しました。取得日数が1日だけという“なんちゃって育休”を見極めるため、取得率だけではなく、何日間取っているのかも聞きました。そして、両立支援については、本人と家族、上司と人事部の4者が一体となって取り組んでいるかどうか。最後に、もしかしたらこれが一番重要かもしれませんが、人事評価に「時間当たりの生産性」という考え方を導入しているかどうかも重視しました。
夫婦の努力だけでは限界がある「共働き子育て」
企業グランプリの審査員を務めた東レ経営研究所・上席シニアコンサルタント/NPO法人ファザーリング・ジャパン理事の塚越学さん
塚越さん: まず「共働き子育てしやすい」という視点でのランキングは、これまであったようでなかったランキングです。夫婦で働き、夫婦で子どもを育てていく。これを実現しようと思うと夫婦の努力だけでは限界があります。「女性活躍」については推進する法律の整備も後押しして活況を呈しており、そうしたランキングも色々あります。働くにあたり、これまで様々な障害のあった女性の活躍に注目が集まっているのはとても大事なことです。
一方で「活躍」という言葉について、もう一度考えたほうがいいと思っています。例えば「職場で活躍をしていた」とされる男性達は、果たして家庭や地域で活躍していたのか。もし男性達が家庭や地域で活躍する時間を失う代わりに職場で活躍できていたとしたなら、また同じことを女性達に求めてしまっていいのか。この辺りを考えていかないといけません。