「昼間のパパ」は公園も、学校のお迎えも
平日の昼間、公園には就学前の子どもたちが集まる。そのそばで立ち話をする母親もいれば、ボールを転がす父親、バギーを押して散歩をする父親もいる。小学生が授業を終える午後3時ごろになると、親たちは子どもを迎えに学校へ。仕事から駆けつけたスーツ姿の父親や、赤ん坊を抱えたTシャツ姿の父親も多く見られる。
共働きが当たり前のオーストラリアでこんな風景は珍しくなくなった。育休中の父親や、フレックスタイムやパートタイムで働く父親もいるからだ。
就学前の幼児が集まる平日昼間の公園。主夫やパートタイム勤務の父親が子どもを連れて来ることも珍しくない
オーストラリアの外務貿易省で働くダミアン・コークさんもその一人。父親になってからは、1歳になる娘の育児のためにフルタイムからパートタイム勤務に切り替えた。
コークさんと、パートナーのナオミ・ヴィカーズさんはともにキャリア外交官。海外赴任は互いに交代ですると決めている。一昨年までは、ヴィカーズさんのヨルダンへの赴任にコークさんが配偶者として同行。帰国直後に生まれた娘の育児は二人で平等にしている。
「父親も、母親と同じように子どものそばにいるべきだと考えています」とコークさんは言う。ヴィカーズさんが1年間の産休(半給で半年、無休で半年)をとったのに加え、コークさん自身も娘の出生時に7週間(半給の育休で4週間、その他の休暇制度を組み合わせて3週間)の休みをとった。現在は、二人ともが週4日のパートタイムで働くことで、育児とのバランスをとっている。
いったいどうやってこのようなことが可能なのか。
「上司(男性)の理解があったことが大きかったですね。上司自身も、子どもが生まれて最初の5年間、仕事が忙しくて育児ができなかったことを後悔していました。そのためにパートタイムに切り替えた人ですから、私のことも応援してくれました」
しかし、すべての人が上司に恵まれるわけではない。そこで省内では一昨年末、「ダメなら、なぜダメ?(If not, why not?)」という方針が導入された。部下が柔軟性のある働き方を求めた場合、上司はそれが不可能であるという正当な理由がない限り、その提案を前向きに検討しなければならないというものだ。
このような方針があれば、個々の家庭状況に合わせた雇用形態が可能だ。コークさんの同僚では、夫婦で一つのポジションをシェアして働いている人もいるという。
仕事も育児も平等にしているダミアン・コークさんとパートナーのナオミ・ヴィカーズさん。コークさんはその理由を、「娘と一緒に時間を過ごしたいから」と語る