放課後と夏休みの時間は、授業時間よりも多い
小学生にとって、放課後の時間と、夏休みの時間をトータルすると、学校の授業時間以上に長いとも言われます。放課後をどう過ごすかということは、子どもの成長にとっても大事なテーマです。特に共働き家庭の場合、頭を悩ませることが多いのではないでしょうか。小学生の放課後の過ごし方の選択肢としては以下のようなものが挙げられます。
「子どもに合ったいい学童が近くにあれば、放課後を過ごす場所としてとても喜ばしいこと。ただし、学年が上がるにつれて、徐々に平日の週5日サイクルがマンネリ化するようであれば、週1~2回くらいは習い事を取り入れるのも一つの方法です」
放課後の小学校を活用したアフタースクールを展開する「放課後NPOアフタースクール」の平岩国泰さんは、放課後の過ごし方についてこのようにアドバイスします。習い事の送り迎えが難しい場合は、祖父母の力を借りたり、民間学童やベビーシッターサービスの送迎オプションを利用する、平日の送迎を近所のママと協力し合うなど、無理なく継続できる態勢を整えることも大切です。
平岩国泰さん 慶應義塾大学経済学部卒業。流通業界で勤務後、2004年長女の誕生をきっかけに、放課後に子ども達が自主的に通いたくなるような“アフタースクール”の活動を開始。2009年「放課後NPOアフタースクール」を設立。現在、全国に15校を展開。参加した子どもたちは5万人以上(撮影:吉澤咲子)">
平岩国泰さん 慶應義塾大学経済学部卒業。流通業界で勤務後、2004年長女の誕生をきっかけに、放課後に子ども達が自主的に通いたくなるような“アフタースクール”の活動を開始。2009年「放課後NPOアフタースクール」を設立。現在、全国に15校を展開。参加した子どもたちは5万人以上(撮影:吉澤咲子)
習い事選びは、子どもに「意欲」があり、「楽しい」場所であるかどうかが肝心だと、平岩さんは言います。
「親が子どもの習い事に加熱し過ぎることは注意したい部分で、例えば、毎日のように違う場所へ行くような場合は1週間のリズムが取りづらく、週末になるにつれてぐったり疲れている子どもの姿も見られます。どんな習い事でもいつか成長が壁に達したとき、その壁を抜けるには子どもが『好き』でないと難しいし、その先に成長があるもの。人生の縮図を体現できたり、学校以外の人間関係がつくれたりするという意味では習い事はとてもいいものですが、低学年のうちは幅広く試していても、中・高学年にはその子が本当に熱中できる1つか2つに絞られるといいのではないかと思います」(平岩さん)
「親の期待に応えなければ」という気持ちから、子どもが無意識に無理をしてしまうこともあると言います。
「習い事に対する親のスタンスは、子どもがやりたくなければやらなくていいし、やりたければ応援するという姿勢でいいと思います。時々、習い事をさせていないと子どもがかわいそうなのではないかと心配される方もいますが、そういうことは決してありません。友達と過ごせるだけで子どもの願いは基本的には満たされていて、友達とみんなで何かを考え工夫する中にも学びがありますよ」(平岩さん)
高学年になると、塾も放課後の居場所の選択肢の中に入ってきます。「私が見ている限りですが、子ども達は意外と楽しそうに通っていますね。ある意味友達とのコミュニケーションの場ですし、学校のクラスで難しい関係も多くなってくるとは思いますが、そこから解放されて、することが何かある時間帯なので、人間関係的にはラクだと思うんですね。そういう意味で塾も現代の子どもの一つの遊びになっていると感じます」(平岩さん)