保育園に子どもを預けることはかわいそう、と思い込んでいたが…

 そんなカオスな状態だったので、執筆する時間をつくるためには子どもを保育園に預けるという選択しかなかったんですけど、そこにも大きな葛藤がありました。レストランでもメニュー見ないでオーダーを決めるほど、私は何事も即決の悩まない人間なんですけど、子どもを保育園に預けるかどうかのジャッジについては、人生で初めて、ものすごく迷いました。私自身のことではなく、私から生まれたとてもとても大事な人間の人生についてのジャッジであるということと、私は専業主婦の母に育ててもらったので、自分がお母さんにしてもらったことは、自分もわが子にしてあげたいという思いですね。

 そんなとき、漫画家のおかざき真里さんに「そのウジウジ悩んでいるエネルギーを、自分が入れたいと思うベストな保育園に子どもを入園させることに使ったらいいんじゃない?」とアドバイスをいただいたんですね。その言葉が私にぴったりハマって、執筆の合間に息子をスリングに入れて、区の保育園すべての見学に行きました。でも、保育園を見ながらも、この子は私と離れたくないんじゃないかと思ったり、産後のセンチメンタルな気分も相まって、タクシーのなかで涙が止まらなくなったり…。ただ、それだけつらかったぶん、保育園に入園できてからは必然的に集中して仕事をするようになりました。わざわざ子どもと離れて確保した執筆時間だから、いい意味で時間にすごくケチになれたし、お迎えまでに絶対書き上げなきゃ!というようにメリハリがつけられるようになった。

 そして、何より保育園の先生が本当に素晴らしく、幾度となく救われました。自分が学生だったときも、こんなに先生に感謝したことはないというくらい、今でも保育園の先生には感謝しています。ママ友についても同じで、ママ友って勝手にマイナスなイメージがついていますが、私にとっては共に戦ってきた戦友のような存在。LiLyとして綺麗にメイクをしてもらってインタビューされている私ではなく、登園時の髪も肌も服もボロボロの(笑)私を知っている。フリーランスではなく、会社勤めの方が多く、異業種同士の仕事の話も貴重で楽しかったです。とはいえ、平日は誰もが忙しいので話す時間こそないのですが、ギャーギャー騒ぐ子どもを連れて帰る途中で、互いに「お疲れさま!」とバチッと目で合図をするような強い絆が生まれました。

 それと同時に、「保育園に子どもを預けることはかわいそうなことだ」と自分が思い込んでいたことにびっくりしました。女性の権利や社会進出について、先頭を切って主張してきた私が「子どもはお母さんと24時間一緒にいなくちゃかわいそうだ」という刷り込みを受けていた。実際に保育園に入ってみたら、先生たちは素晴らしいし、保育園のママたちも子どものことをめちゃくちゃ愛している。にもかかわらず、私はこんなことで、泣きすぎて頭が痛くなるほど悩んでいたんだって。

「小1初めての夏休みの宿題、よくがんばったね」
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