まだまだ続く、教育費捻出の道
こうして無事お子さんの中学受験が終わった3人。第一希望に入れたかどうかにかかわらず、子どもががんばって結果を出したことと家族で団結できたことがよかったと口をそろえます。

ただし、受験が終わったからといって終わらないのが、これから中学・高校・大学と10年間は続く教育費です。
そこで、最後にお金に関して気をつけるべき点やアドバイスを聞きました。
●塾も志望校も、決める時には多角的に考える
Hさんは、塾を決めるにも志望校を決めるにもよく考えることが節約にもつながるといいます。
「志望校を決める上では、もちろん雰囲気もひとつの目安になりますが、他にもたとえば大学付属中学なのかどうか。その場合、大学は将来子どもの行きたい学部はあるのか?小学生の場合、まだ将来の希望は不確定。行きたい学部がなかった場合、外に出られるのかといったことも調べておかないと、後々出費が重なることにもなります」。
Hさんはその点を考えて、大学付属校ではない中学を志望校にしたそうです。
塾も同じこと。塾は、逆に実績よりは相性が大切なので、3ヶ所ほど体験して決めたほうがいいとHさんはいいます。塾の相性が合わずに塾を変われば、その都度ストレスとお金がかかってしまいます。
●料理は習慣。外食や惣菜を買う癖をつけないこと
「私立中学に行くと、基本はお弁当。お弁当作りが苦手だったり負担だったりすると、子どもの昼食はカフェテリアや学食に頼りがちになってしまい、教育費以外のお金がかかることも」と語るのはMさん。2人の男の子を持つ身として、食費のウエートは高く、安易に外食はできません。子どもが小さい時から、「外食は特別なときだけ」と決め、無駄な出費を避けてきたといいます。
親は、たとえ料理が苦手であっても、毎日作る癖をつけた方が結局省エネになるようです。
●500円貯金は侮れない
Mさんはさらに「子どもが小学校低学年の時が、唯一貯金をできる時期、無駄遣いをせず貯めておくこと」といいます。お財布に500円があるとそれをすぐに貯金をする「500円貯金」で、多い時には月に1万円も貯まったそうです。
●健康な体を維持して、しっかりと働く
Iさん夫婦は、「これから10年。夫の収入で生活を支え、妻が教育費を稼ぐという役割分担で、子どもの大学卒業までは夫婦ともに健康に維持し、しっかり働こう」といつも話しているそうです。健康に勝る財産はありませんね!
まとめ
今回の取材を通して、決して特別な家庭が受験をしているわけではないことがよくわかりました。
中学受験をきっかけに「家族にとって何が大切なのか」をみんなで確認しあう。家族がひとつの目的に向かって各自できることを一生懸命やる。そんな経験はとても貴重なもの。
家族が一致団結したときに、中学受験は金銭面でも決して乗り越えられない壁ではないということを、今回教えられた気がします。
(取材・文:宗像陽子)