保育園で病気の子どもを預かることができない理由
子どもに熱、下痢、嘔吐、その他感染症の症状が出たとき、保育園では病児を預かっての保育ができません。そのため、園を休ませ、親も仕事を休んで家で看病するか、自分たち以外の人にお願いする必要が出てきます。
「保育園を考える親の会」代表の普光院亜紀さんによると、保育園で病気の子どもを預かれないのには正しい理由があります。
子どもの病気が特に多いのは、新しい園に入園した直後です。「初めての集団生活でほぼ全員が通過するプロセスですので、『今はそういう時期だ』と思って乗り切るしかありません」(普光院さん)
以下の表は、保育園児の月当たりの平均休園日数です。
(富山市内調べ)
平均休園日数は、0歳だとひと月当たり平均2.52日。月に2日以上は園を休むことになります。もちろん、個人差はあります。
「知ろう小児医療 守ろう子ども達の会」代表の阿真京子さんはこう話します。「月に2度以上会社を休まないといけないという状況は、親にとってはなかなかハードですね。でも、3歳になると、どうでしょう。月平均休園日数が0.94日になります。月に1度以下、という子が多くなってくるわけです」
また、1歳時には月に2~4日以上休園していた子が、5歳ではめったに休まなくなるというデータもあります(富山市内T保育園の園児休園状況調査より)。
「つまり、頻繁に子どもが病気をし休まなければいけない時期というのは、生まれたばかりの最初の数年間なのです。社会に求められるのは、その時期に子どもが病気をするという認識を広く皆が持つこと。そして、職場に求められるのは、その何年間かを皆で支え合っていけるしくみづくりです」(阿真さん)
子どもが病気になると、「私が仕事をしていなければ…。ゆっくり家で看病してあげたら、こんなに繰り返さなかったかも…」など親は自分を責めがちです。しかし阿真さんは、会の活動を通して、小児科医師らのこんな言葉に励まされたといいます。
「子どもは病気になって強くなっていくんだよ」
「病気になって免疫を獲得していくんです」
「病気になるのなんて、早いか遅いかだけ。保育園入園時にたくさんなる子もいれば、幼稚園の入園時になる子もいる。またならない子もいる。それだけだよ」
「みんな、病気になって、成長する。子どもが病気のときに親ができることは、自分を責めることではなく、子どもの様子をよく見て(観察)、書いて(記録)、そして医師などの専門家に伝える(伝達)。この3つなのだと思っています」(阿真さん)。