参考書とゲーム、どっちを選ぶ? ゲームの面白さにはやっぱりかなわない
日経DUAL編集部 ゲームの面白さを一度知ってしまうと、「なかなかやめられない」「声をかけても返事をしない」「ゲームのリセット精神が浸透してしまいそう」など心配している親御さんは多いと思います。実際、ゲームに熱中し過ぎると勉強時間が減り、次第に生活習慣までが狂ってしまうということも。悪影響があると思われがちなゲームと、相対するような「勉強」になぜ先生たちは着目されたのでしょうか?
清水さん(以下、敬称略) 私たちの塾では、小学生から高校生まで幅広い年齢層の生徒がいます。私が今から9年前、大学在学中に塾を立ち上げるきっかけとなったのは、「勉強の楽しさ」を伝えるためでした。ですから、授業でも常にそれを意識してやってきました。
でも、実際に学力が伸びるのは、授業時間よりもむしろ、家に帰って自ら進んで勉強をするときなんです。ところが、多くの生徒はその時間をゲームに充てていることが分かりました。どんなにいい授業をしていい感触が得られたとしても、家にゲームと参考書が置いてあったら、ゲームを選んでしまう。私自身もゲーム世代の子どもなので、ゲームの楽しさは知っているけれど、「どうして勉強はゲームに勝つことができないのだろう?」と考えるようになりました。そしてたどり着いたのが、「ゲームに時間を奪われている」と嘆くよりも、ゲームから学ばせてもらおうという考えです。それから、ゲーミフィケーションについて調べるようになりました。
ゲーミフィケーションとは、ゲームの考え方やデザイン・メカニズムなどをゲーム以外にも活用する手法のこと。ゲーミフィケーションは、今はビジネスでも多く取り入れられていますが、これだけ人を熱中させる手法を教育に生かすことはできないだろうかと考えてみたのです。それにはまず、ゲームが作られる仕組みを知ることが必要だと思いました。
勉強のやり方を教える塾「プラスティー」代表の清水章弘さん(写真左)と、学習アプリの開発をしている綿貫知哉さん(右)