天野 妙さん 「『学ぶ・話す・行動する』の3つが不可欠」

 天野さんは次のように話しました。「待機中のママ・パパには『学ぶ』ということを大切にしてほしい。自分がどのくらい納税していて、どのくらいリターンがあるのか知っているでしょうか? そんなことから学んでほしい。それが次の行動につながります」

 「身近な人と『語り合う』ことも大切です。保育園建設に反対する地域の人たちの多くは、保育園のことをよく知らない。保育園がどんなものか、語り、知ってもらうことで、理解されることもあります」

 「3つめは、『行動する』ということです。確かにロビーングは勇気がいるし、議員に会うのはドキドキするかもしれません。私もつい最近まで国会議事堂がどこにあるのかも知りませんでした。でも今は週に2回は通う日々です。実は政治って自分が行動しようと思えば近づける、身近なものなのです。

 「そんなことはハードルが高いということであれば、草の根運動から始めてはどうでしょうか。近所の人たちに、『うちの子保育園に入れなくて、大変なんです』と話して『あら、大変そうね』と思ってもらうのもひとつのロビーングです。私たち共働き世帯は、忙しくて地域の人達とあまり話していないのではないでしょうか。そういう小さな行動の積み重ねがいずれ大きな力になり、保育園建設計画が持ち上がったときにも『あのお母さんも困っていたから、いいんじゃない』というイメージにつなげられると思います」

羽生編集長「子どもが社会を育てている」

 3人のパネリストの思いを受けて、最後に羽生編集長は次のようにパネルトークをまとめました。

 「今回の『みんなの保育の日』のテーマは『子どもは社会で育てよう』ですが、皆さんのお話を聞いて、むしろ『子どもが社会を育てている』のではないかと思いました。子どもから孫へ、次世代へ、次世代へ続いていくからこそ社会は存在するわけです。『待機児童になった』と言うと、産んだ自分の自己責任でしょう、自分がまいたタネでしょう、と言われる社会です。確かに『わが子』というくらいですから、もちろん自分が育てるわけです。しかし子どもはいずれは大きくなり、コミュニティーを次世代につなげていく役割を担う存在です。そういったことからも、自分の子であろうとなかろうと、社会全体が子どもたちの幸せに関心を持ち続ける国になっていってほしいと思いました」

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(取材・文/日経DUAL編集部)