走ることが苦手な子どもはそもそも運動量が少ない
子どもにとって晴れの日の運動会。できれば、ビリにはならないでほしい。せめて、こけずに最後まで走ってほしい…。
運動神経というのは子どものときからはっきりしているもので、走れる子は放っておいてもどんどん速く走るようになるけれど、そうでない子はなかなか上達せず、本人もだんだん苦手意識を持ってしまう…。自身も苦い思い出を持つ親は、わが子にはそうなってほしくないと願いつつ、どうすれば速く走れるようになるのかは分からない。むしろ親のほうこそ教えてほしい。そんな人は意外と多いのではないだろうか。
そこで、シドニー、アテネ、北京とオリンピックに三度も出場し、400mハードルの日本記録保持者である為末大氏が代表を務める「TRAC」に、「楽しみながら速く走れるようになる練習法」について教えてもらった。TRACでは小学生向けにかけっこスクールを開講しており、幼児クラスも今後スタートする予定だとか。今回は、もともと400m走の陸上選手で、現在TRACのコーチを務める大西正裕さんに聞いた。
TRACコーチの大西正裕さん
DUAL編集部(以下、――) 走ることが苦手、あるいは速く走ろうとすると転んでしまう。そういう保育園児は少なくないように思いますが、そういう子はどうすれば速く走れるようになるでしょうか?
大西正裕さん(以下、敬称略) 走ることが苦手な子どもは、そもそもの運動量が少ないことが多いんです。だからまずは遊びの中で、“意識せずに走る”ということを多く取り入れてほしいですね。
―― 具体的に、どんな遊びでしょうか?
大西 例えば、ボール遊びをしているときにわざとボールを後ろにそらします。そうすると子どもは自然と走ってボールをとりにいこうとします。ママやパパが離れたところから「ここまでおいでー」と呼びかけて、走らせるのもいいでしょう。
他には、「あそこまでタッチしてここまで戻ってきて」とか。そのときに「ママと競走だ!」と言って一緒に走って、大人が負けてあげるというのもいいと思います。なるべくゲーム感覚で、楽しんでやることが大事です。
あとは、子どもがワクワクしてくれるような声かけを心がけてほしいですね。あえて「これは小学生にならないと難しいかな?」とか言って、挑戦心をあおってみるとか。そして何かできたら、少し大げさに褒めてあげる。子どもには大人に褒められたい、認められたいという承認欲求がありますから、そういう部分をうまく刺激してあげてほしいですね。