小道具とステージを用意しよう

 子どもの「見立て」を刺激する空間作りの例としては、いろいろなものを見せながら収納できる「コレクションウォール」があります。

コレクションウォール。家族や自分のたいせつなものからごっこ遊びが誘発される(我孫子展示場)
コレクションウォール。家族や自分のたいせつなものからごっこ遊びが誘発される(我孫子展示場)

 「コレクションウォールにパパのお気に入りのフィギュアや、拾ってきた石、まつぼっくりやどんぐりなど、いろいろなものを飾っておきましょう。子どもは身近にある環境や物からインスピレーションを得て、空想の世界を作り出します。その世界の中で自分の分身を操って、ごっこ遊びが始まるのです」(積水ハウス総合住宅研究所の河崎由美子課長)。

 「部屋の中に想像の世界をはばたかせる舞台を用意してあげるのもいいですね。例えば、床を一段下げた『ピットリビング』なら、いつもの床が机やステージになります。ここは、子どもにとって格好の遊び場で、さまざまなストーリーが生まれるのではないでしょうか」(河崎さん)

ピットリビングの窓辺。床を下げたことで生まれた段は子どもが遊ぶのに最適なステージ(イズロイエ駒沢展示場)
ピットリビングの窓辺。床を下げたことで生まれた段は子どもが遊ぶのに最適なステージ(イズロイエ駒沢展示場)

 「子どもが見立て遊びをしていると、親も盛り上げてあげようとしてつい話しかけたりしがちですが、これはNGです。子どもは空想の世界の中でアイドルやヒーローになったりして、現実とは違うものを見ています。話しかけるとそのストーリーが途切れてしまうのです」(河崎さん)

 「ただし、夢中になり過ぎると仮想と現実の境界がつかなくなってしまいます。危険な時はストップをかけてください。おままごとをしているときも大人は目を離さないで。泥団子や葉っぱの料理を本当に口にしてしまう子もいます」(河崎さん)

キッズデザイン協議会
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(文/福本千秋)