公立中に進む子は毎日遊んでいればいい、というわけではない
「中学受験をしない」という選択をした家庭では、「小学生なのに夜遅くまで塾通いをさせてかわいそう」「もっと子どもらしい生活を送らせてあげればいいのに・・・」など、中学受験に対してマイナスのイメージを持っている人も少なくありません。確かに今の時代の中学受験は、小学生の子どもにとって負担が大きいのは否定できません。
「でも、受験をしないからといって、公立中に進む子は勉強をしなくてもいい、というわけではないのですよ」。そう話すのは、東京と京都で勉強のやり方を教える塾「プラスティー」を運営する塾長の八尾直輝さんです。
「勉強のやり方」を教える塾プラスティー塾長の八尾直輝さん
ラ・サール中学・高校を経て、東京大学工学部卒。東大在学中に清水章弘氏とプラスティーを創業。現在は取締役塾長として、東京(飯田橋)と京都(烏丸御池)でプラスティーを経営しながら、子どもたちの指導に関わる。著書に『ゲーミフィケーション勉強法』(講談社、共著)があり、教育現場などでも多数講演を行う
では、公立中に進む子は、高学年でどの程度の家庭学習をすればよいのでしょうか?
八尾さんはこうアドバイスします。
「小学生の家庭学習は『学年×10分』とよく言われますが、高校受験から逆算することを考えると、それでは少し足りません。小学4年から6年生まで、毎日1時間は家庭学習をすることをおすすめします」
「具体的な取り組み方として、まず毎日勉強する時間帯を決めておきます。理想は夕飯前の1時間ですが、おなかがすくと勉強に集中できないという子は、夕飯後でもいいでしょう。大事なのは、その子にとってのベストな時間帯に設定し、習慣化させることです。高校受験で公立・私立上位校を目指すのであれば、土・日曜も1時間は勉強するのが理想的ですね」
「1時間の学習時間の中身は、『小学校の宿題と+αの学習』をします。+αの学習で取り入れたいのは、算数と国語です。小学生の学習は、この2科目をしっかり定着させることが大切。なぜならこれらは、高校受験で重要になる科目であり、この時期に苦手にしてしまうと、中学に入ってからの勉強についていけなくなってしまう恐れがあるからです。宿題以外の家庭学習の計画はできるだけシンプルに。あれこれ詰め込まず、『今日は国語、明日は算数』といったように、1日1教科に絞って取り組むほうが集中できますよ」
「算数は計算をしっかりトレーニングしておきましょう。教材は通信教育でも、タブレットでも構いません。公文を習っている子は、それを活用しましょう。計算が得意な子は、少し難しめの教材を使って、先取り学習をしてもいいと思います」
「国語は漢字をしっかり覚えましょう。漢字は国語だけでなく、すべての教科につながります。漢字が苦手だと文章を読むことに支障が出ますし、社会で固有名詞を書くのも難しくなります。漢字はその学年で習うところまでできていれば基本的には十分ですが、漢検に挑戦するなど具体的な目標を持って先に進むのもモチベーションアップにつながるので、目標達成型のお子さんにはおすすめですね」
「ただし、ここで気を付けなければならないことがあります。計算や漢字をしっかり学習させることは大事ですが、無理にやらせるとかえって勉強嫌いにさせてしまう恐れがあります。小学生が家庭学習に取り組むうえで大事なのは、勉強を嫌いにさせないことです。それにはどんな教材を使って勉強を進めていくかが大きなカギとなります。また、親の関わり方も大切です」
では、小学生の家庭学習にはどんな教材が適しているのでしょうか?