どれを選ぶ? 計算力の公文、教科書準拠の進研ゼミ、良問のZ会
「勉強のやり方」を教える塾プラスティー代表の清水章弘さん
海城中学・高校を経て、東京大学教育学部、東京大学大学院教育学研究科修士課程修了。東大在学中にプラスティーを創業。現在は東京(飯田橋)と京都(烏丸御池)でプラスティーを経営しながら、全国の学校・教育委員会のアドバイザーを務める。著書は『現役東大生がこっそりやっている、頭がよくなる勉強法』(PHP研究所)など11冊。出演・監修にNHK Eテレ「テストの花道 ニューベンゼミ」など
小学生の家庭学習に広く使われている「公文」「進研ゼミ」「Z会」。DUAL読者の中には、親子2世代でお世話になっているという人もいるのではないでしょうか?
「しかし、ひとくちに家庭学習向けの教材といっても、その中身は大きく異なります」
そう話すのは、東京と京都で勉強のやり方を教える塾「プラスティー」代表の清水章弘さんです。プラスティーには、中学受験をする小学生と、公立中に進む小学生が通っていますが、公立中に進む小学生は家庭によって様々な教材を使っていると言います。その中でも多く使われているのが、やはりこの3つ。
実は清水さん自身も子どものころに、この3つの教材を使ったことがあるというではありませんか! そこで、今回はご自身の体験と、現在小学生を指導する立場から見て感じることを両面から照らし合わせ、それぞれの教材の良いところや弱点を挙げてもらいました。3社の比較表も作りましたので、教材選びの参考にしてください。
【公文】計算力が高まる! 自分のレベルに合わせて進められるのが魅力
公文は「国語」「算数(数学)」「英語」の3教科の学習があります。中でも、小学生に人気があるのは「算数」です。公文の算数は、計算力を高めるために適した教材で、スモールステップで積み上げながら定着させていくよう吟味されています。
公文は週2回教室に通い、当日分の教材を受け取り、それを解いて提出します。間違ったところは訂正し、100点にならなければ次に進むことはできません。
公文の良いところは、自分のレベルに合わせて、自分のペースで進められることです。そのため、親の関わりが少なくてすみ、忙しいDUALファミリーには向いている教材です。教室では1日5~10枚など、その子のレベルに応じた枚数の宿題が出されるので、家庭学習を習慣化させやすいというメリットもあります。
公文の算数をやっていれば、計算力は間違いなく鍛えられるでしょう。しかし、早く正確に解くという処理能力は鍛えられますが、文章題など考えさせる問題が少ないので、深く考える力が育ちにくいという弱点があります。
公文利用者のボリュームゾーンは、小1~小4くらい。幼児期からやる子もいますが、小学校に入るタイミングで始める子が多いようです。小学6年間、順調に続いていれば、中1~2くらいの内容まで進むことができ、中学入学に向けて学力の貯金ができます。中学範囲まで進んでいると、気持ち的に優越感を味わえるので、自己肯定感を高めるにはいいでしょう。しかし、実際は小学6年間続ける子は少なく、中学受験や小学校高学年から塾に通い始めるのを機にやめてしまう子が多いようです。
先取り学習が注目される公文ですが、一人ひとりの学力に合わせた学習ができるという点では、戻り学習にも適しています。勉強が苦手と感じていたら、少し前に戻って、高学年になってから始めてみるのもいいと思います。
公文を習うなら、「四則演算がスラスラできるようになったらやめる」「中学生の内容まで進む」などある程度の目標を決めておくといいでしょう。長く続けているとどうしても気持ちがだれてしまい、字が汚くなったり、途中式を省いてしまったりと雑になってしまうからです。お子さんの取り組みを見て、嫌々やっていたり、適当にやっていたりするように感じたら、そのときがやめどきかもしれません。
公文 算数G教材(中1レベル)※小学4年生が使用