リアルマネーに触れる機会が少ない子どもたち
ネットで商品を購入したり、食料はネットスーパーや宅配サービスで自宅に配送、さらに振込はネットバンクで済ませて……。時短を追求するDUAL夫婦にとって、インターネットはとても便利なツールです。
ファイナンシャルプランナー 高山一恵さん
「お金と向き合う」を全力サポートする会社、Money&You取締役。ファイナンシャルプランナー(CFP認定者)。FP技能士1級。DCプランナー1級。2005年に女性向けFPオフィスエフピーウーマンを設立し10年間取締役を務めた後、2015年にMoney&Youの取締役へ就任。女性向けサービス、FP Cafe®の事業に注力。マネーに関する著書は数十冊。
しかし、ファイナンシャルプランナーの高山一恵さんは、「ネット決済や電子マネーなど目に見えないお金だけである程度生活できるとても便利な世の中になりましたが、これらの決裁では実際のお金の流れを視覚的に見ることができません。だからこそ、子どもにはお金は湯水のごとく湧き出てくるものではないということを、身をもって体験させていくことが大切です」とアドバイスします。
とはいえ、電車に乗るときには交通系ICカード、スーパーは宅配、またはカード払いというように現金を持たなくても生活ができてしまう日常の中で、子どもにお金の教養を身に付けさせるのは親が意識して機会をつくらないと難しいもの。子どもへのお金の教育はそもそもいつごろから始めるとよいのでしょうか?
「一般的に子どもが金銭感覚を身に付け始めるのにいいとされる年齢は、『論理的な思考』や『認知力』が発達する5歳ごろから。小学生のうちは“おこづかい”という形にこだわらなくてもいいと思いますが、お金を一人で扱っていく前段階として、小学3年生ごろまでに『物やサービスの対価としてお金を払っている』親の姿を意識して子どもに見せたり、家庭内でお金をテーマに話し合う機会を持ったりするといいでしょう」と高山さん。
「例えば、交通系ICカードに現金をチャージする姿を見せながら仕組みを説明したり、食品や洋服を購入する際に店舗へ足を運んで、実際の商品を手に取って値段を確認し、現金でお金を払う姿を見せたりする。コンビニやスーパーの買い物では、子どもにお金を渡し、レジでの会計を任せてもいいでしょう」
これまで特に意識してこなかったという家庭でも、高学年になってからでは遅いということはありません。共働き家庭で育つ子だからこそ、より日常の生活と結び付けてお金との付き合い方について伝えられることも。
「高学年になると、お金への関心も出てくるので、パパとママの収入から“わが家の家計”がどのような構成で成り立っているのか、ざっくりと説明してもいいでしょう。夏休みの機会であれば、親子で予算を決めるところから一緒に旅行をプランニングしたり、3日・1週間などと期間を区切って、おこづかいデビューするのも手。“効率”と“リアル”とのバランスを取りながら、実際のお金のやり取りを定期的に子どもが目の当たりにすることで、社会の中でのお金の流れを意識し、お金に対する価値観が育まれていきますよ」(お金の教養について詳しくは第2回で紹介します)
次のページからは、子どもにおこづかいを渡す際に、あらかじめ親から伝えておきたいことやNG行動について詳しく聞いていきます。