「公立中でも大丈夫?」 何に対して不安なのかをまず明確に
教育コンサルティング会社のエデュケーショナルネットワーク(東京都千代田区)の調べによると、2017年度の首都圏(群馬県を除く1都5県)の中学受験者数は5万6000人(※小6児童数は33万7000人)。都内の一部では、クラスの約半分が中学受験をする学校もあると言われています。
安田教育研究所・副代表 平松享さん
中学受験について、安田教育研究所・副代表の平松享さんはこう話します。
「確かに都内は、全国的に見て中学受験が盛んです。しかし最近は、公立校への不安から子どもが私立に流れるという消極的な動機に基づく受験は少なくなっています。私学を選ぶ家庭は、豊かで子どもによりよい環境を与えるためのお金を惜しみません。そういう方々が都内には比較的多く暮らしているということも大きな要因の一つでしょう。また、都内には個性豊かなたくさんの中高一貫校があります。学校選びの選択肢が広いのも、中学受験者数を増やしている理由でしょう」
「だからといって、公立中学が劣っているのかといえば、そうではありません。近年は公立中学も比較的安定しており、公立中学から高校へ進学するという家庭も増えています」
しかし、公立中学は、私立中高一貫校のように各校のパンフレットや、充実したホームページがあるわけでもなく、情報を得にくいという印象があります。そのため、漠然と不安を抱える親も少なくありません。
すると、平松さんはこう尋ねます。
「では、そもそもみなさんは何に不安を感じているのでしょうか? 公立でも私立でも、学校によってその内容は様々です。どんな学校でも“いじめ”は起こり得ます。何か不安があればまずそれが何なのか、不安の正体をはっきりさせましょう」
「例えば、進学する中学校が1学年に1クラスしかなくて、友達関係でこじれるのではないかとか、生徒数が少なすぎて部活が成立しないのではないかとか、部活が忙しすぎて勉強が十分にできないのではないかとか、公立高校の受験は内申点が重要と聞いているが、その実態はどうなのかとか、その噂は本当なのか、不安になっていることを一つひとつ確認してみることです。そうすれば、漠然とした不安は解消されます」
「お子さんが進学する中学校について知りたければ、学校公開などの機にその中学校に直接聞くか、その中学校に通っている子の親から直接様子を聞くのが一番いいでしょう。でも、その前に確認しておきたいことがあります。それは、お子さんが通える公立中学は一つなのか、他にも選択肢があるかどうかです」