朝の時間を活用すると、夫婦の対話が劇的に変わる
DUALファミリーの皆さんは夫婦でゆっくり話をする時間がとれていますか?
睡眠を十分にとれていないと気持ちに余裕がなくなるので、朝、夫が電車に間に合うかどうかの瀬戸際の必死にネクタイを締めているようなときに、「子どもの成績が悪くて……」とか、「学校から呼び出されているけど、何が起きたのかな」などと言ってしまうことはありませんか。
夫からしたら「まずい、間に合わない!」と心の中で焦っている状況ですから、このタイミングで話を持ち出されてもイラっとするに決まっています。すると、ママは「夫は全然話を聞いてくれない」と嘆き、つらい思いを抱えてしまう……。
そんなとき、私はママにこう聞きます。「いやいや、ちょっと待って、もう1回、考えてみましょうね。夫は今、遅刻するかもしれない瀬戸際で、必死にネクタイを締めているときです。もし、あなたが仕事に遅刻しそうなとき、問いかけられたらどうする?」
すると、皆さん「いや、それは無理です」と理解してくれます。ちょっとだけ立ち止まって考えれば分かることなのに、どこか余裕がなくなっているのですね。ママとしては、自分が抱えている不安を夫にも一緒に背負ってほしくて、とにかく話を聞いてもらいたいと思っています。もちろん、夫だって、息子の成績が振るわないことを心配していないわけではありません。話を聞こうという気持ちはあるけれど、今じゃないだろう。そういう状況です。
このケースではママが相手の立場を考え、夫の置かれている状況をくみ取れればよかったのです。それができなかった原因は、ママがしっかり寝ていないということの他に、お互いに対話の時間をとろうとしていないことにあります。
これは私の持論で、経験談でもあるのですが、夫婦の対話の時間を朝とるのか、夜とるのかを問われたら、断然、朝をおすすめします。その理由は、前回もお話ししたように、脳の整理整頓は夜、寝ている間に行われ、しっかり眠れば、ネガティブな思考に陥りにくくなるためです。いやいや、わが家は夜じゃないとそんな時間はとれないと思われるかもしれませんね。しかし、夜はもともとネガティブになりやすいうえに、二人とも一日働いて疲れて帰ってきた後です。そのような状態で話し合いをしても、残念ながらあまりいい結論は出ないのです。
でも、しっかり眠って、脳の整理整頓を済ませ、元気ホルモンのセロトニンがたっぷり出ている朝なら、きっといい結論を導けます。そのために夫にも早寝早起きをしてもらい、余裕をもって身支度してもらいましょう。朝ごはんを食べているときに15分でも20分でもいいので時間をつくってください。そうすれば、夫婦の対話は劇的に変わります。
次回は、疲れているのに眠れない、眠りが浅いなど不眠症についてお届けします。
(取材、文/小山まゆみ、撮影(成田さん分)/花井智子、イメージカット/iStock)