理科ぎらいになりやすい高学年こそ 「楽しい夏の思い出」を

 2つの実験を終えて、辻先生はこう話します。

 「低学年のうちは、植物を育てたり、星を観察したりするなど、理科は子どもたちにとって楽しい教科です。しかし、高学年になり物理分野や化学分野に入ると、内容が難しくなり、理科ぎらいになる子どもが増えます」

 「でも、今日の実験の様子を見て、いかがでしょうか? 内容的には『水溶液の性質』『水と空気と温度』など、子どもたちが苦手とする単元を扱っていますが、実験ではとても楽しそうに取り組んでいましたね。難しいと感じてしまうのは、目に見えない抽象的な内容で、子どもにはイメージしにくいからです。でも、私たちの生活の中にある身近なもので伝えれば、子どもも理解できます。そこを大人が上手に導いてあげれば、高学年になっても理科をきらいになることはありません。むしろ、もっと理科に興味を持つはずです」

 「高学年になったら、自由研究くらい自分でやってほしいと、思う親御さんもいるかもしれません。確かに一人できるものもありますが、何か実験をするときは、『これを入れたらどうなるかな?』『今度はどうなると思う?』など所々で、声かけをしてくれる人がいるほうが、考えながら進めていけます。理科の実験はこうした仮説を立てることが大切です」

 「でも、何よりも子どもは大好きなお父さんやお母さんと“一緒に何かをする”のが好きなのです。夏休みは旅行に連れて行きたいし、キャンプも体験させたい。家族でいろいろやりたいことはあると思いますが、たった30分でできる自由研究だって、子どもにとっては楽しい時間なのです。理科は苦手で・・・というお母さんも、心配は要りません。なぜなら自由研究は正解を求めるものではないからです。親子でぜひ一緒に楽しんでみましょう」

次回は、“楽しい思い出”だけでは終わらせない、自由研究の成果が光るレポートのまとめ方を紹介します。

中学受験専門のプロ個別指導教室SS-1 副代表 辻義夫

浜学園での中学受験対策講師を経て、1999年生徒一人を徹底的に伸ばす指導を行う、中学受験専門のプロ個別指導教室SS-1(エスエスワン)の開設に参画。最難関中学校を目指す生徒を中心に算数・理科を指導。「わくわく系中学受験」として評され、楽しく学べて理科系科目が知らない間に好きになってしまう、知らない間に成績が伸びてしまう授業として人気を博す。ご家庭でもできる理科の成績を上げる方法を紹介。『頭がよくなる謎解き理科ドリル』(かんき出版)、『<最新版>SS-1メソッドで理科の点数を一気に上げる!』(ごま書房新社)など。

(写真・文/石渡真由美 構成/日経DUAL 加藤京子)