社内で誰が力を持っているかという情報が、日々、タバコ部屋で交換されている
今回の調査の結果、日経DUAL編集部が最も特筆すべきだと感じた項目は、「あなたがキャリアを築いていくうえで、特に厳しかった、つらかったと感じたのはどのようなことですか?」という質問への回答です。複数回答可の質問項目(下表参照)を設けたところ、「男性だけでネットワーキングが行われ、女性は重要な情報を入手できなかったこと」という項目を選ぶ人が最多となりました。ダイバーシティーの重要性がこれほど叫ばれる今でも、「男社会」の暗黙のルールは企業内に根強く残っているという結果に、驚く読者もいるのではないでしょうか。女性エグゼクティブたちに、そんな場面をどのように乗り越えてきたか、伺いました。
回答者が多い順に並べ替え、女性エグゼクティブが“男性社会”に悩まされていることが分かる選択肢に色を付けた(単位:%)
この項目を選んだAさん(外資系/保険/営業/副部長/30代)に後日、電話取材を依頼したところ、こんなエピソードを聞くことになりました。「仕事をしていくうえで無視できないのが、社内政治。つまるところ情報戦です。今、誰が社内で一番力を持っているかという情報は、主に男性が集まるタバコ部屋で共有されていると感じます」。
タバコ部屋以外でも、女だからという理由で“爪弾き”にされることが少なくない、とAさんは続けます。
「先日、弊社の社長がチーム全員を北海道に一泊の報奨旅行に連れていってくれたときのことです。私の物怖じしないキャラクターもあって、夜の飲み会には呼んでもらえたのですが、やはり2次会は遠慮しました。要は、男性たちは“お姉ちゃん”のいるお店に行きたいわけですね」。こうした男性社会特有のお作法についてAさんはこう鋭く指摘します。「人間が仲良くなったり、チームの団結力を高めたりする方法は2通りあると思います。1つは、苦しい経験を共有すること。もう1つは、恥ずかしい経験を共有すること。そう、後者は、エロ系です。お客さんとの距離を縮めるために、男性同士だと、お互いの愛人を連れて一緒に旅行するという話も耳にします」。耳を疑いたくなりますが、案外よくある話だというのも残念ながら事実です。
こうした状況を、女性としてどうかわすべきでしょうか。
「おそらく、こういった話は弊社に限った話ではないと思います。私は転職経験者で、新卒のとき、ダイバーシティー推進で今でも有名な外資系メーカーに入社しました。その会社で、入社後すぐに参加した社員旅行での話です。温泉旅館に到着し、男性上司から『女子はみんな浴衣に着替えてきなさい』と言われて驚愕しました。当時の私は『あり得ない!』と憤慨し、女性上司に泣きつきました。でも、今の私なら黙って浴衣に着替えていってしまうような気もするのです。本音では嫌でも、男社会の理不尽さに慣れてしまったせいだと自覚しています。以前、SNSで『女性がどんどん男性社会に諦めているから、ダイバーシティーが進まない』という投稿を読んだことがあるのですが、その通りです。やっぱり『おかしいものはおかしい』と女性の側が声を上げていくしかないと思います」(Aさん)。