学校に行けない事実を受け止め、安心して過ごせる環境を整える
不登校新聞の取材を通し、不登校の子どもたちに寄り添い、親を支え続けている石井志昂さん。親のとるべき対応について、石井さんはどう考えているのでしょう。当事者の立場からお話しいただきます。
石井志昂さん
『不登校新聞』編集長。1982年生まれ。中学校受験を機に学校生活があわなくなり、教員、校則、いじめなどにより、中学2年生から不登校。同年、フリースクール「東京シューレ」に入会。17歳から不登校新聞社の子ども若者編集部として活動。不登校新聞のスタッフとして創刊号からかかわり、2006年に編集長に就任。現在までに不登校や引きこもりの当事者、親、識者など、300名以上の取材を行っている
第2回でも言いましたが、不登校の子どもは、学校に行ってほしいという親の思いを察して、「明日は学校に行く」と口にすることがあります。でも、実際はなかなか行けません。「学校に行く」と言っている本人も嘘をついているわけではなく、本当に行こうと思っています。でも、「やっぱり無理」とか「学校には行かないけど、勉強だけはする」と、言うことが変わるというようなことはしばしばあります。
その言葉のひとつひとつは決して嘘ではなく、大人を欺こうとしているわけでもありません。本人は本当に悩んでいて、学校に行けない現状だけでなく、これから先のことも悩んでいます。それは低学年の子でも同じで、どの子もみんな心を痛めているのです。
お父さん、お母さんには、わが子の身に何が起きているのか、その背景を考えてもらい、その子が安心して過ごせる環境を整えてあげてほしいと思います。不登校の原因が学校にあるなら、学校のことを気にしなくて済むように、宿題や教科書を見えないところに置く。子どもはそれだけでもほっとラクになります。
「行きたくない」を愛情で受け止めることが子どもの支えになる
低学年の子であっても学校に行かないことは劣等生であるとか、ダメな存在であると認識するので、不登校によって本人の心はどうしても傷つきます。不登校新聞で僕は15年間、当事者の子どもたちを取材していますが、子どもの世界は見た目以上に残酷で、深刻なこともたくさんあります。そして、学校に行けない理由を大人が理解するのは難しいこともあります。それでも学校に行けないその子に罪があるわけではないし、その子の人生が終わったわけでもありません。
子どもとはいえ、彼らにも 「ノー」を言う権利はあるので、お父さん、お母さんには子どものノーを愛情で受け止めていただきたい。そうしたからといって、その子の人生に悪い影響を及ぼすことはありません。学校に行けない、何かができないというときに、大人が愛情をもって接してくれ、それを受け止めてくれた経験は子どもにとって大きな財産になり、本人が大人になったとき、必ずその子を支えるものになる。僕はそう信じています。