重要な働きをする葉酸は茶葉で補給。でんぷん類も常備を
見落とされがちなミネラルが、心臓の働きをコントロールするなど、微量でも重要な役割をする葉酸です。実はこれは、途絶えさせてはいけないミネラルなのです。
葉酸を豊富に含む緑茶の葉は、必ず常備しておきましょう(ペットボトルのお茶には残念ながら含まれていません)。茶葉を粉にした粉茶なら、お湯が沸かせないときでも、何かにふりかけて食べることができて便利です。水に入れて「水出し」で抽出すれば、カフェインが出ないので、子どもにも安心して与えることができます。
また、のりはミネラルの宝庫。すし用の大きなものを1帖、ストックしておくといいですよ。私も防災袋に入れています。カップラーメンしか食べられないときでも、のりを1枚入れれば、ミネラルは補給できます。賞味期限が過ぎて湿気たら、のりのつくだ煮にすればおいしく食べられます。
少量でも湯があれば糊化できるでんぷん類も常備しておきましょう。うるち米を粉にした米粉で作る粉粥は、吸水後、短時間加熱でできるので省エネ。体が弱っていて誤えんなどを起こしやすい状態であっても、とろみをつけて口からむせずに食べることができ、大きな助けになります。
『坂本廣子の台所育児―一歳から包丁を』(農山漁村文化協会)は1990年に出版され、読み継がれているロングセラー
本物の葛粉は整腸作用があるので、片栗粉より身体によいもの。冷えにくいので、子どもの体を温めるのにも向いています。
葛は昔から「葛根湯」という薬として使われていたのですが、本葛はでんぷんになっても薬効はあるんです。葛粉は体内の水分をちょうどいい具合にしてくれるので、風邪で熱があり脱水気味のときの水分補給に向いています。と同時に芯から身体を温めるので、冷えにくくなります。色々な働きがあり、体に優しいので、常備しておきたいですね。
いざというときの備えとともに、いざというときの料理ができるようにしておくことも大切です。大人だけでなく、自分で自分の命を守ることができる判断力や行動力を身に付けさせるためにも、子どもにも料理の習慣を身に付けさせておくと良いと思います。「生きよう」とする力は理屈ではなく、小さな子どもの中にもあるものです。料理を通して熱さや痛さ、作って食べる喜びを感じることで、子どもの中の「生きる力」を引き出すことができます。
(取材・文/桑原恵美子)