最後のステップは絵を見せずに読み聞かせる「素話」
ステップ4まで進められれば、お子さんは随分と絵本好きになってくれていることでしょう。
これだけ絵本好きになってくれたのだから、きっと、本(児童書)好きにもなってくれるだろうと思いたくなってしまいますが、実は絵本好きと本好きの間には大きなハードルがあります。
「絵」という手掛かりがある絵本と違って、本は絵がなくても読んだ言葉からイメージを膨らませられなければ楽しむことができません。そこを大人がフォローしないと、せっかく絵本好きになっても、肝心の本好きにはなってくれない可能性があります。
それができるようにフォローしていくのが、本好きにするための最後の仕上げのステップです。ぜひこのステップまで付き合ってあげてほしいと思います。
いよいよ本好きにするための総仕上げとして、話を聞いてイメージを膨らませる機会を増やしていく時期です。絵を見せることなく本を読み聞かせる「素話」に挑戦してみましょう。
【絵本の選び方】 「行きて帰りし物語」形式で、難しすぎない絵本
例:『おおきなかぶ』(福音館書店)
【読み方のコツ】
まずは、お子さんがストーリーを覚えている本を「絵を見ないで聞いてね」と言ってから、読み聞かせてみましょう。どのくらい理解できているか、集中力が途切れずに聞いていられるか確認しながら、大丈夫そうならば、少しずつお話を長くしていきましょう。
そして、素話を楽しめるようになったら、自分でお話を創作して子どもたちに聞かせる「メイクストーリー」にもチャレンジしてみましょう。最初は、今日あった出来事を面白おかしく話して聞かせるだけでも十分です。パパやママが、あらかじめ読んだ本の要点をもとに創作したお話でもよいでしょう。慣れてきたら、パパやママが子どもに伝えたいメッセージをお話の中に盛り込むことができるのもメイクストーリーのよいところです。どうぞ気軽に楽しんでみてください。
最後はいよいよ児童書です。はじめは章ごとに区切りながらで大丈夫。そのうちに、読み聞かせてもらうのではなく、自分で児童書を手にとって読むようにもなるでしょう。
最後にアドバイスをもう一つ。読み聞かせというと、ついつい張り切って過剰な演出をしたくなるパパやママもいらっしゃるかもしれません。でも、大げさな抑揚を付けず、子どもたちがじっくりと絵や言葉を味わえるように、ゆったりしたペースで読むことも大切です。大人の解釈を押し付けたり、お話を中断したりしないように気を付けましょう。あまり肩に力を入れず、ご家族で無理なく続けられるタイミングや時間を見つけられるといいですね。
そして何より、お子さんを本好きにするには、親が読書する習慣を持ち、子どもにその姿を見せることが大切です。
今読んでいる本について家族で会話する習慣があるか、家族みんなが静かに本を読む時間があるか、図書館に行く機会があるか、ということなども振り返ってみてください。図書館に行くと、普段は手にしないような絵本や本との出会いがあって、興味関心の偏りを修正できたりします。
中学生になると、家族で一緒に何かをするということが難しくなってしまいますから、ぜひ、今のこの時期を大切に、楽しく取り組んでほしいなと思います。
(イメージカット/鈴木愛子 参考/『子どものココロとアタマを育む毎日7分、絵本レッスン』山本直美著・日東書院)