ノンセックスどころかスキンシップレスの二人
十数年前のマキさん
ゲイとレズビアンの逆転夫婦として、まだ性同一性障害やLGBTという言葉もなかった1994年に結婚したジョン&マキさん。
学生時代から早大生ゲイボーイとしてバラエティー番組に出演していたマキさんは、テレビで結婚を発表。「男女逆転・ノンセックス」の友情結婚が話題となり、ワイドショーや週刊誌、TVドキュメンタリー番組で取り上げられるようになった。
実生活では、二人で経営していたニューハーフショーパブを閉めた後、前橋に部屋を借りながら、それぞれ出稼ぎに出る別居生活となる。
マキさんは、古巣の六本木「プティ・シャトー」や新宿二丁目の店での勤務などを経て、一度水商売から離れることに。様々な資格を取り、OL(?)や人材派遣会社などを転々とし、現在は、またショービジネスの世界に復帰。トークショーやイベントなどにも出演している。ジョンさんは、ホテル勤務経験や料理の腕を生かし、飲食店などに勤務していたが、独学で介護福祉士の資格を取り、現在は介護の仕事に就いている。
結婚当初は同じマンションの隣同士で別居生活をしていたが、現在は引っ越して、家賃の問題もあって同居している。ただし、寝室は別々だ。
結婚した際には「ノンセックス、同性との恋愛は自由、すべてオープンにする」という3つの誓いを立てたが、日常生活でスキンシップはあるのだろうか。
「マキちゃんは、何かおめでたいことがあったり喜ばしいことがあったりすると、すぐハグしたがるんです。それが私は嫌ですね。気持ち悪い(笑)」(ジョンさん)
「失礼ね! だってオカマ同士でも友達と久しぶりに会ったりしたら、ハグくらいするじゃない。私たち身内なんだから、それくらい普通でしょって思うんだけど。何カ月も出稼ぎに行って、帰ったときくらい『ただいまー』ってハグくらいしたいわ。だけど、ジョンはイヤだって」(マキさん)
ハグもキスもダメ。では握手程度なら?
「握手なら大丈夫。でも、スキンシップの許容度は私たちの間でもズレがありますね」(ジョンさん)
「でも、私がけがとかして体が不自由なときとか、お風呂で背中を流してくれたりするじゃない。あんたは服着たままだけど」(マキさん)
「用心してるからね。間違って襲われたら困る(笑)」(ジョンさん)
「やめてよ、ほんと失礼よね。なんで私があんたみたいなおばあちゃん襲うのよ!」(マキさん)
セックスどころか基本的にはスキンシップもない関係。それでもお互い相手のことが好きだとはっきり言い切り、誰よりも強い情を抱き合っている。