悪友は人生の宝だ
今年のお盆は父さんの親友の一人に会いに行かないか? と振ってみた。
「どういう友達? 会ったことがある人かな」
「いや、初めてだけど、ドローンを作っている。いや、大企業じゃなく、そうだな、『下町ロケット』のおっさんみたいに」
「おおー!」
「それに、土蔵を改造したスタジオを持っている。ドラムもたたき放題だ」
「うわぉ!」
「料理も得意だし、広い庭でBBQなんてやってくれるかもよ」
「いいね! 行こうじゃないの!」
息子たちは人見知りしない性格ではあるけれど、あいつには会う前から興味津々となった。話しているうちに、これは面白いことになりそうだなと期待がどんどん膨らんできた。
会えるときに会っておきたい、という思いも強いけれど、高校時代の友達とは何年離れていても、会った途端に当時の感覚に戻れることがうれしい。通った学校は詰め込みだけの進学校で、思い入れはまったくないけれど、友達は別だ。嫌いな学校で出会う友達といえば、悪友に決まっている。
「良友とはためになる友達、益友。反対は悪友」と辞書にはあるが、絶対に違うだろうと思う。悪友のほうが人生を豊かにしてくれる。今の自分があるのも、そんな悪友たちに恵まれたおかげだ。
話に花が咲くオヤジさんたちの背後に見えてきた姿は……(イラスト/小栗千隼)