原因がはっかり分かっていないメニエール病
―― メニエール病はどんな病気ですか。
「ぐるぐるする回転性の目まいと、難聴と耳鳴りの3つの症状が出ます。目まいだけ、耳鳴りや難聴だけのタイプもあります。ひどいと立ち上がれなかったり、吐いてしまったりします。遊園地のコーヒーカップを回し過ぎたときのような感覚です。耳詰まり感があって、数日間治らないと来る人が多いです」
神尾友信(かみお・とものぶ) 1965年生まれ。帝京大医学部卒業。日本医科大学附属病院などを経て、神尾記念病院入職。医局長・副院長を経て2010年、院長に就任。耳鼻咽喉科専門医、補聴器相談医">
神尾友信(かみお・とものぶ) 1965年生まれ。帝京大医学部卒業。日本医科大学附属病院などを経て、神尾記念病院入職。医局長・副院長を経て2010年、院長に就任。耳鼻咽喉科専門医、補聴器相談医
「こうした症状は突然起こります。1回ではなく繰り返します。頻度は個人差があり、頻回に起こる場合や月に数回、あるいは年に数回など様々です。人間は自分の周囲の空間や位置を、目や内耳、手足の関節などで感知し、その情報が脳に伝えられ、体のバランスを微妙にコントロールしています。このいずれかの具合が悪くなると、平衡障害や目まいを感じます。目まいの原因は、小脳梗塞などもありますから、原因を知るために受診したほうがいいです」
「医療は、怖いもの順に調べていきます。異常があった場合、脳を第一に調べて、異常がなければ耳鼻科へ。耳鼻科で目まいというと、三半規管の障害です。突発性難聴も内耳の血流障害や虚血が原因で起こると言われ、早期発見が大事です。メニエール病は、内耳の中でリンパ液が水ぶくれのようになってしまい、排出障害が起こります。内リンパ水腫という、内耳の障害なのです」
―― なぜ起きるのでしょうか。
「メニエール病がなぜ起きるかは、はっきりと分かっていません。内リンパ水腫になるメカニズムが分からないのです。病態は分かるけれど、原因が分からない。たくさんの患者さんを見ていて、あえて言うと、その人の気質によるところが大きいと思います。患者さんには、ストレスを感じやすい人が多い。ストレスはほとんどの人にあるものですが、うまく表に出して解消できない人がなる印象があります」
「ストレスがあっても、次の日はクリアになっている、月曜日には忘れてしまっているということならいいんです。引きずるタイプ、かつネガティブに考えがちな人はメニエール病になりやすいようです」