勉強の楽しさは「分からない」ことを「分かった」にすること
「成績低迷で自信を失っている子の自信を取り戻させる方法は、『分からない状態』をできるだけ減らすことに尽きます」と高濱先生。
具体的な方法として、高濱先生が勧めるのは「復習ノート」。中学受験に限らず、勉強は復習がとても大事だと言います。そうは言っても、復習って一体何をやればいいのでしょうか?
「実は多くの子が、復習は『問題を解き直すこと』と思っています。そして、ただ問題を解き直しただけで、『復習ができた』と思い込んでいるのです。しかし、問題をただ解き直すだけでは学力を伸ばすことはできません」
「学力を伸ばすためには、正しい復習のやり方と、復習のためのノートづくりが欠かせません。間違えた問題をただ解き直して終わるのか、どこで間違えたか原因をしっかり突き詰めたかで、その後の伸びは大きく変わってきます」
復習ノートには、次の4つを書き残します。
【復習ノートに必要な4つの項目】
①問題文を書く
②解答を書く
③できなかった理由を書く
④ポイントを書く
復習ノートの例。問題文と回答のほかに、できなかった理由・反省点と改善策も書くのがポイント(資料提供:花まる学習会)
ここで大事なのは、③と④です。例えば、図形の問題で補助線を引く場所を間違ってしまった場合は、それを③に書きます。そして、④に改善策を書きます。こうして、自分だけのオリジナルノートを作るのです。
「このノートを使って3回問題を解いてみたら、分からなかった問題もしっかりと解けるようになります。勉強とは本来、『分からないこと』を『分かった』にするもので、その積み重ねで成績は伸びていきます。成績が伸びていけば、モチベーションは自然と上がるもの。まずは、苦手な状態から脱出することです」
けれど、苦手と向き合うのは、子どもにとってはつらいもの。どうしても逃げたくなってしまいます。そんなときに大事なのが「大人の関わり」と高濱先生は言います。
「大手進学塾は上位層を伸ばすことだけに目が行ってしまい、上位層以外は単なるお客様。一人ひとりのフォローまでは期待できません。個別指導塾や家庭教師を併用することで、面倒見の良さは期待できますが、その分さらにお金がかかります。理想は親が適切にフォローすることですが、教育熱心なお母さんが関わった場合『きちんとやったかどうか』だけに目が行きがちで、子どもの小さな頑張りに気づかず、ケンカに発展してしまいがちなので注意が必要。そういう場合、一歩引いて見ることができるお父さんが関わることで、うまくいくケースが多い。もちろん、この逆のケースもあります。いずれにしろ大事なのは、親が子どもの気持ちを支えながら、確実に苦手をなくしていくことです」