オトナの男性が子どもを連れて街へ出ると

 先日、ホテルのラウンジで仕事の打ち合わせをした。その席に、担当者が4歳ぐらいの息子を連れてきた。動きたくてたまらない子ども。時折脱走しかけるのをなだめながら、打ち合わせを進める担当者。

 ここはビジネスマンが多い。私はハラハラして、周囲をうかがった。けれど睨みつける人も、舌打ちする人もいない。おお、さすが都会のホテルはダイバーシティに寛容だね! だが、待てよ。

 子どもを連れて来たのは、白髪混じりの男性である(オヤジマインドにあふれた大手メディア企業にも、こんな人がいるのかと驚いた)。もしかして周囲の人が寛容だったのは、子どもの親が、女性でも若者でもなかったからではないか。オトナの男性が子どもを連れてくるなんてよほどの事情があるのだろうと同情したのかもしれない。女性だったら「非常識」と説教されるところを、男性だったら「いまどきのお父さんは偉いですね」と褒められる可能性すらある。

 「俺もよく子どもと街に出るけど、そんな意地悪な人、いないよ? 考えすぎじゃない?」と言う男性もいるだろう。でも、それはあなたが男だからかもしれない。同じ子連れでも女性に注がれる視線は多分、あなたに向けられるものよりも厳しい。母親たちはそれをイヤというほど感じている。もちろん親切な人もたくさんいるけれど、ときには母親いじめとしか思えないような事件にも遭遇するのだ。

子どもは女の付属品で、同じ社会のメンバーではない

 残念ながら世の中には、オンナコドモの世界は「おおやけ」ではないと思っている人が、まだまだたくさんいる。男性にも女性にも。そんな人から見たら、子どもは女の付属品で、同じ社会のメンバーではない。お前の持ち物なのだから、人様に迷惑かけないように管理しろよ、となる。保育園なんか建てないでほしいと言うのも道理だ。よその女(しかも子どもを預けて働きたいなんていう“わがまま女”)の持ち物なんかに、なんで自分の静かな暮らしを台無しにされなきゃならないの?というわけだ。

 だから、男たちよ。わが子を連れて街に出よ! 子どもは女の体の一部じゃないと示すために。