わが子のためと思うほど、「こうあるべき」という「子育ての正しさ」に縛られ、窮屈な思いをしている人も多いのではないでしょうか。仕事と家事、さらには「親の育て方が子どもの将来を決める」とばかりに肩ひじ張って育児に奮闘し続ける――。気づけば、親の思い描くビジョン通りに子どもを歩ませようとしてしまっているかもしれません。そこで今回は、日本の常識に縛られることなく、グローバルに活躍してきた経験を生かして子育てをしてきた6人の女性をクローズアップ。海外で子育てする人、自身の海外経験を日本での子育てに生かす人、グローバル企業に勤めて多様性を身に付けた人の「レールを敷かない子育て」に迫ります!

グローバル基準の子育て

自身は12歳で英国に単身留学、ロンドン大卒業

 1987年の創業以来、ナニーやシッター、ナーサリースクールや学童サービスなどを展開し、働く女性を支援してきたポピンズ。轟麻衣子さんは創業者である中村紀子さんの娘で、地元の小学校を卒業後、12歳で英国に単身で留学、寄宿舎に入りました

 英ロンドン大学卒業後、メリルリンチ・インターナショナル、シャネル、デビアス勤務などを経て、2012年ポピンズに入社、18年に代表取締役社長に就任しました。以降は米ハーバード大学教育学大学院・プロジェクトゼロと共同で「子どものためのSDGs」をテーマに研究を進めたり、23年1月には長野県・軽井沢町で49年ぶりとなる大型保育園「ポピンズナーサリースクール軽井沢風越」を開園したりと事業の幅を広げています。

 プライベートでは08年にコロンビア人のパートナーと結婚し、現在12歳の長男(小学6年生)と10歳の長女(小学4年生)がいます。現在は日本で暮らしていますが、家庭の中では英語と日本語、スペイン語が飛び交う日常。その背景には、それぞれの母語を大切にする強い思いがあるようです。

 仕事に子育てに多忙な毎日ですが、「子育ては量より質」と考え、短い時間ながらも子ども一人ひとりと向き合う時間を作り、興味・関心の深掘りをサポートしたいと思ってきた、と言います。

 そして育児においては「子どものとがりポイントを見つける」ことを大切にしてきたとのこと。それはいったい、どういうことなのでしょうか。多様性にあふれる家庭ならではの子育てからヒントをもらいましょう。

詳しくチェック!
・英国で受けた両親学級が子育ての基盤に
・親の役目は「子どものとがりポイント」を見つけ、伸ばすこと
・子どもが「本物」「一流」に触れる機会をつくる
・親子1対1の「スペシャルタイム」を設けて子どもの興味を深掘り
・答えではなくプロセスを大事に
ポピンズ代表取締役社長 轟麻衣子さんの家族写真。長男5歳、長女3歳の頃
ポピンズ代表取締役社長 轟麻衣子さんの家族写真。長男5歳、長女3歳の頃