「ダイバーシティ」や「女性活躍」が進んできたのは大都市圏の大企業だけ、地方企業や中小企業では女性がやりたい仕事をすることも多様性への理解も、強固に阻む壁が存在するという声があります。その一方で、地方だからこそ追求できる働き方がある、と話す人も。地方で働く女性の今について、嘆きと希望の両面から探りました。

地方で働く私たち ~嘆きと希望~

 大都市の大企業で進められている女性活躍推進は、日本全体ではどんな状況なのか。読者アンケートを実施したところ、家族のいる地元で働きたいと願う一方、希望の仕事に就けない、働く女性をサポートする制度やサービスの不足に悩む女性たちの声が寄せられた。

 具体的な内容は記事後半で紹介するが、その前に地方の女性雇用創出に尽力するWill Lab代表取締役の小安美和さんに、地方における女性たちの働く環境の現状や課題などについて話を聞いた。

女性活躍の価値観がアップデートされない中小企業

小安美和さん(以下、小安) 地方で働きたい、生まれ育った地で働きたいというニーズは一定数あります。ただ、地方で自分の希望どおりの職業に就けるかといえば、都市部に比べ選択肢が狭いのも事実です。

 2015年に女性活躍推進法が成立し、常時雇用する従業員数が301人以上の事業主を対象に女性が活躍できる行動計画を策定・公表するよう義務付けられました。22年4月1日からは101人以上の企業も対象になっています。

 大企業の場合は女性活躍推進をしなければ人材確保が難しいだけでなく、国際環境の中でビジネスをしていたり上場企業として市場から資金調達していたりすると、女性活躍に力を入れていないと信用を保てない、投資家が離れてしまう、といったリスクがあります。

 ですが、そうした外圧によるプレッシャーは従業員100人以下の企業では小さい。人口10万人以下の地方都市では、ほとんどの企業がそうした小さな規模の企業です。これが結果として地方で女性活躍推進の機運が高まりにくい要因です。

 また、女性が働くにあたっての壁も、地方のほうが大きいと感じます。下は、女性が働くのを阻む5つの壁を図にしたものです。

図はWill Lab作成
図はWill Lab作成