「ダイバーシティ」や「女性活躍」が進んできたのは大都市圏の大企業だけ、地方企業や中小企業では女性がやりたい仕事をすることも多様性への理解も、強固に阻む壁が存在するという声があります。その一方で、地方だからこそ追求できる働き方がある、と話す人も。地方で働く女性の今について、嘆きと希望の両面から探りました。

地方で働く私たち ~嘆きと希望~

 赤坂の雑居ビルの一角にある桃源郷のような「昼スナックひきだし」。全国各地で講演することも増えた紫乃ママの元に、地方企業で働く女性2人がご来店。古い体質の中小企業で女性活躍を担当する女性の苦労や、「これだから女は」と言われる風潮が残る職場で働く女性の諦め……。真っ昼間からグラス片手に、特濃スナックトークが始まります。

今日は、地方から女性2人がご来店。地方企業勤務ならではのお悩みがあるようで…
今日は、地方から女性2人がご来店。地方企業勤務ならではのお悩みがあるようで…

紫乃ママ いらっしゃい。あ、この前、地方のイベントに来てくださった方……圭子さんね?

圭子 先日はありがとうございました。紫乃ママの言葉にすっごく勇気をもらいました。

今日の来店客1/渡辺圭子さん(仮名、43歳)
地元短大を卒業後、地元の金融系企業に就職し、経理や総務を担当。会社は保守的な体質で女性は「女の子」扱い。5年前に総合職に転換したが、賃金や評価は男性との差が埋まらない。女性活躍推進の担当として奮闘しつつも、周囲との温度差に悩む日々。

女性活躍推進を一身に背負わされるもやもや

圭子 今、会社としては女性活躍を進めていて私が担当者なんですが、他の社員との温度差がありすぎて……。人材開発部に所属しているのですが、女性社員のほとんどが40代以上で、20代が数人。中間の世代がいないから世代間のギャップが大きくて。私は若い子たちの背中を押したい派なんですけど、同世代からはいい顔をされないんです。

紫乃ママ おお、女性活躍推進担当。ようやく地方も動き始めている。でも実際は名ばかり「くるみん」が多いのよね。圭子さんの会社は女性社員がどのくらいいるの?

圭子 社員は250人くらいで、そのうち女性は1割です。女性が上を目指すチャンスもない。だから女性活躍といっても、上司も何をすればいいのかよく分かっていないんですよね。20代の女性社員たちが希望を持って働ける会社になってほしいと思っているんですけど、なかなかうまく進まなくて。

紫乃ママ そうか~。まだ「女性活躍? それおいしいの?」的化石人材も健在か。圭子さんの部署だけで頑張っても周りの理解がないと難しいよね。ほかの中間管理職を巻き込めるといいんだけどね。