コロナ下で起業・フリーランスへの道はますます身近になりました。「子育てと仕事のベストバランスを目指したい」「好きなこと・得意なことに特化して働きたい」「新サービスを世に出して、社会に貢献したい」…理由はさまざまだとしても、起業・フリーランスに挑戦してみたいとチラリとでも考えたことがない働く親は、むしろ少数派かもしれません。さらに、「フリーランス同士でチームを組む」「起業した後、会社員に戻る」など、従来のフリーランスや起業のイメージにとらわれない、柔軟な働き方も選択できるように。一方、ハードルが低くなったとはいえ、起業やフリーランスに一定のリスクが存在するのもまた事実です。家族の生活や子どもの教育費など守るべきものが多い共働き親が、起業・フリーランスを目指すとき、どう準備し、どんなマインドを持って挑めばいいのかを探っていきます。

育児・家事・教育費…共働き家庭だからこその起業・フリーランス

 「好きなこと、得意なことをベースに長く働きたい」「子育てと仕事をより負担なく両立させたい」「自分の理想のキャリアをつくっていきたい」といった理由から、会社員で働くママ・パパの中には、起業・フリーランスへの転身に興味を持つ人も少なくありません。とはいえ、毎月の給与という「安定した収入源」を手放すことはインパクトが大きく、「独立して本当にやっていけるのか」「自分には向いていなかった場合、会社員に戻ることができるのだろうか。空白期間があるとみなされ、再就職は難しいのではないか」といった不安から、一歩を踏み出せない人もいるでしょう。

 しかし、求職者と企業側の両サイドのサポートをしている、リクルートエージェント カスタマーサービス1部部長の高嶋純子さんは、「独立経験が空白期間になることはまずない」と言います。

 「例えばフリーランスの場合、仕事のペースが1カ月に2、3日など、極端に少ない場合は別ですが、会社員と同じようにフルで働いている方なら、キャリア経験で判断されるので何の問題もありません。ほかの求職者と同様に、その人のキャリアや考え方、人柄などが判断材料になります。フリーランスだからといって、採用の優先順位を下げられるケースは、今のところは見たことがありません」(高嶋さん)

 では、独立して仕事をした経験がメリットになるのは、どんなポイントで、マイナスになる部分があるとしたら、それは何でしょうか。これから起業したりフリーランスに転身したりする際には、それらのポイントも踏まえておくと、いざというときに会社員として再就職するという選択肢も得られ、安心材料になるはずです。記事の前半で詳しく解説してもらいます。

 また、記事の後半では、実際に、会社員と起業家という立場を何度も行き来してきた経験を持つパパ社長、MOTA(モータ)代表取締役の佐藤大輔さんに話を聞きました。

 自身も人を採用する立場の経営者として、起業したりフリーランスとして自立したりした経験がある人のキャリアを高く評価しているという佐藤さん。自分自身も、会社員と起業家という立場を行き来してきたことで、数多くのメリットを得てきたといいます。こちらも詳しく聞いていきましょう。

「会社員と起業家という立場を何度も行き来してきたことで、得てきたことがいろいろあります」と話す、MOTA(モータ)代表取締役の佐藤大輔さん
「会社員と起業家という立場を何度も行き来してきたことで、得てきたことがいろいろあります」と話す、MOTA(モータ)代表取締役の佐藤大輔さん