リスキリングでキャリアチェンジ
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新卒以来、会社員一筋で過ごしてきた大阪府在住の中村恵子さんは定年後の61歳で行政書士の資格を取り、再雇用期間を終えた後に行政書士事務所を開業。さらに難関の司法書士試験にも何度も挑み、ついに70歳で合格を果たしました。会社員時代は一貫してシステム系の仕事に従事していた中村さんは、なぜ全く違う分野のリスキリングをしようと考えたのか。きっかけは、「定年後の危機感」と「やり残したことをちゃんと勉強しよう」という思いでした。
システム部門一筋の会社員生活 定年が近づき思ったこと
編集部(以下、略) 中村さんはシステム系の会社で定年を迎えた後に、行政書士と司法書士の資格を取ったそうですね。
中村恵子さん(以下、中村) 私はメーカーに新卒で入社したのですが、その後システム部門が分社化されたのでそちらに移り、システムの運用やメンテナンスなどを担当してきました。実質的に1つの会社で定年まで勤めた形です。
ただ、もともと大学は法学部で、メーカーに就職すれば法務部などで法律に関することをやらせてもらえるのかなと思っていたんです。でも実際はそういう機会はなく、システム部門一筋でした。
―― そうだったんですね。会社でのキャリアが思っていたのとは違う形で進む中で、転職とか、いつかは法律に関わることを、というような思いもあったのでしょうか。
中村 転職を考えることは何度もありましたが、結局は何か積極的に動くようなことはなかったです。結婚・妊娠といった節目もありましたが、たまたま私の部門には出産後も働き続ける女性の先輩がいたので、その流れに乗って2人の子どもを育てながら働き続けることができました。
毎日が忙しく過ぎていく一方で、「自分の時間ができたら何かしよう」とは、ずっと思っていました。そうして55歳になった頃に「定年後」を意識し始めた。これから先、私はどうするんだろう。仕事は続けたいなあ。そんなことを考えていたとき、会社が開いたセカンドライフについてのセミナーに参加しました。
講師の社会保険労務士の方が、「皆さん、定年退職したら毎日テレビの番をするようになるのでは? それじゃいけませんよ」と言うのを聞いて、ああ、私はこのままだと絶対そうなると思いました(笑)。そのときに自分に何ができるかを考えて、法律というやり残したことをちゃんと勉強しようと決めたんです。