注目を集めるリスキリング。せっかく学んだスキルをキャリアアップ、キャリアチェンジにつなげたいですよね。DXを目的にしたデジタルスキルに限らず、さまざまな資格をミドル世代で取得して、第2の人生につなげている人たちもいます。それまでに培ったキャリアや社会人経験があるからこそ学びで得られる内容も深く、セカンドキャリアが花開いているようです。そんな人たちのリスキリング体験を取材しました。

リスキリングでキャリアチェンジ

 スーパーやコンビニの棚などで頻繁に目にする「糖質オフ」の文字。管理栄養士としてロカボダイエット、ケトジェニックダイエットを世の中に広めた立役者である麻生れいみさんだが、もともと管理栄養士を目指していたわけではなかった。大きなキャリアチェンジにつながったのは、飽くなき好奇心だったという。

麻生れいみさん 管理栄養士、料理研究家
麻生れいみさん 管理栄養士、料理研究家
あそう・れいみ/大手出版会社の編集・ライターを経て、服部栄養専門学校栄養士科卒業。管理栄養士として企業の特定保健指導・栄養相談。病院の臨床研究においての栄養療法を監修し、医薬に頼りすぎない新しい治療法をサポート。医療と予防医学、栄養学を深く結びつける役割を担うべく、料理研究を行う。『麻生れいみ式ロカボダイエット』(ワニブックス)など著書多数

冷しゃぶサラダで20kg減「油抜きしないのになぜやせた?」

編集部(以下、略) 麻生さんは、以前は編集者だったそうですね。

麻生れいみさん(以下、麻生) はい、学生時代はずっと美術を学んでいて、中高は女子美術大学付属、大学は武蔵野美術短期大学。卒業後はファッション系の雑誌編集の仕事をしてきました。20代後半で退社して子ども服と雑貨の店を開店したんです。

 初めての店舗経営です。人を雇って、仕入れも販売も全部やるのはなかなか大変な作業で、ストレスで太ってしまいました。

 もともと興味を持ったこと、好きなものにはのめり込むタイプ。食には興味がありました。マフィン研究家と称してレシピを研究したり、スコーンも自分で研究したレシピで作ってお店で販売したり、レシピもお店に置いて紹介していました。

 その流れでパスタソースやドレッシングが気になって、冷しゃぶドレッシングが発売されて人気になると、朝昼晩3食冷しゃぶサラダという食生活になったんです。主食がいらないくらいおなかいっぱい冷しゃぶサラダを食べる毎日。タレも自分で研究し、具材も豚肉だけでなく牛肉や魚もいけるなとアレンジしながら続けていたら、3カ月で10kg体重が落ちていたんですよ。

 夏は冷しゃぶですが、秋になったら鍋のタレがいろいろ出るので、今日はキムチ鍋、明日は豆乳鍋と毎日鍋。鍋生活でまた10kg体重が落ちました。

 2000年代初頭のダイエットは「油抜き」が全盛期だったので、冷しゃぶも鍋も油は結構摂取するのになぜ私はやせたのか不思議だったんです。

 それでいろいろ調べるうちに栄養学の存在を知り、学んでみたいと思いました。

 ちょうどその頃、ユニクロが子ども服を扱い始めて、これは太刀打ちできないと思っていたこともあり、お店をたたんで専門学校に入学することにしました。

 東京・代々木の服部栄養専門学校で2年間の栄養士科を選択したのですが、2年で栄養士の国家資格をいただくわけですから勉強は大変ですし、遅刻や欠席にはとても厳しいと聞いていました。アルバイトなんてする余裕はないので、その間の学費と生活費をためてから、入学したのは44歳のときです。

―― お店をスッパリやめたということは、栄養学の道で食べていくと決意したのですか?