注目を集めるリスキリング。せっかく学んだスキルをキャリアアップ、キャリアチェンジにつなげたいですよね。DXを目的にしたデジタルスキルに限らず、さまざまな資格をミドル世代で取得して、第2の人生につなげている人たちもいます。それまでに培ったキャリアや社会人経験があるからこそ学びで得られる内容も深く、セカンドキャリアが花開いているようです。そんな人たちのリスキリング体験を取材しました。

リスキリングでキャリアチェンジ

親の決めた道に進学・就職「疑問持たなかった」

 働く人のキャリア形成を支援する国家資格の「キャリアコンサルタント」。資格取得を目指す人が増えている人気資格の一つである。

 ダイバーシティやメンタルヘルスなどのマネジメント研修講師として活躍する、人材育成コンサルタントの石野かおりさんも、キャリアコンサルタントの資格を持つ一人だ。そのほかにも、産業カウンセラーなどさまざまな資格を有する石野さんは、自身のキャリアについて「積み上げてきたものが点と点でつながっていった」と話す。一体どのように学びを重ね、キャリアを築き上げていったのだろうか。

石野かおりさん
石野かおりさん
いしの・かおり/人材育成コンサルタント。1985年より酒造会社に勤務ののち、航空会社の客室乗務員へ転職。退社後は、夫の海外駐在に伴い渡仏。帰国後は自治体教育委員会の日本語指導員などを経て、産業カウンセラー、キャリアコンサルタントなど資格を多数取得し、現在はフリーの人材育成コンサルタントや研修講師として活動している

 石野さんは短期大学を卒業後、1985年に酒類メーカーに入社。進路や就職先は父親が選んだものの、大きな不満や疑問を抱くこともなかったという。

 「あの頃はまだ、女性は短大へ進学する人が圧倒的に多かった時代。4年制大学に進学したい気持ちもありましたが、長女だったこともあり親の勧めを『当然のこと』だと受け入れました」

 入社後に配属されたのは一般事務。ところが石野さんはルーティンの仕事が性に合わず、仕事にやりがいを見いだせずにいた。悶々(もんもん)とした気持ちを抱えていた石野さんは、1年目の人事面談で、率直に「働く意欲が持てない」と上司に伝え、転職活動を決意。終身雇用が当たり前だったこの時代、同一企業に勤め続ける人が多く、ましてや「女性が結婚以外の理由で退職する」のは珍しいことだった。