働く私の更年期
女性ホルモンのゆらぎによって起きる更年期のさまざまな症状。日本人の平均閉経年齢は50歳前後なので、閉経をはさんだ前後5年、仕事での責任が増す45~55歳が更年期世代に当たります。更年期の症状で仕事に支障を感じたとき、どう乗り越えればいいのでしょうか。上司や同僚にうまく伝えられない…。「更年期と仕事」に関する読者アンケート(調査概要は記事末に記載)に寄せられたリアルな声とともに、上司に相談することで環境を改善できたという実例を紹介します。
「更年期のせい」とオープンにしたら楽になった
職場で同僚や上司に更年期だと相談して何かサポートがあったかを聞くと、「相談に適した人がいないのでしたことがない」「そんな雰囲気ではない」「相談したがサポートは得られなかった」という厳しい現状が見えてきました。「体調が悪ければ休んでください、と比較的理解のある職場だが、男性ばかりなので更年期の相談はできない」、「面談で更年期障害の症状が出ているので体調が優れず急に休むことがあるかも、と相談したら『男でも更年期障害があるらしいね』と話題を変えられて何も改善されなかった」など、読者のアンケートからは更年期を理解してサポートしてもらうことの難しさが伝わってきます。
ただ、「相談はしていないが、自分が更年期障害でつらいことを顧客を含めオープンにしたことによって、少し気持ちも楽になった」「周囲には、それとなく伝えている。 顔汗は更年期の影響、と理解されていることでやりやすくなった」と、職場でも更年期を隠さずに語ることで気持ちが楽になったという声もありました。
更年期に対応した制度や理解してくれる職場環境が少ない中で、上司に相談したことから就業状況を見直してもらい、症状が改善したという、2人のケースを紹介します。
メンタル不調で判断力が低下 婦人科→心療内科の診断で休職
50歳手前から更年期症状が1年以上続きました。特に不眠や不安などメンタルの症状が強く、判断能力が鈍ってうまくジャッジできないことが増えました。チームリーダーをしていたが、チャットでやりとりしながら、その場で判断することができない。明らかに今までの自分とは違うと感じました。不眠や頭痛が続き、寝ても深夜3時、4時に目が覚めてしまい、休んでいる気がしません。不安や焦りからさらに思考が停止して、判断力が低下していたのだと思います。
婦人科を受診して漢方薬を処方されましたが改善が感じられず、医師の勧めホルモン補充療法を試みましたが、体調に劇的な変化はありませんでした。大事な会議があるのに出社できなかったり、納期までに資料を出せなかったりと、今までにはない状態に陥ってしまいました。