大事なことがスコンと抜ける、頻繁に忘れ物をしている、友達とのトラブルが多すぎる…。子どものこんな行動に悩みを抱えてはいないでしょうか? 中には発達障害やグレーゾーンを疑っている親もいるかもしれません。では、わが子が「気になる」とき、親はどうすればよいのでしょうか。日常生活だけでなく、進路選択など子どもの将来を考える上でも知っておきたいことが多々あります。本特集では、わが子が気になる親たちがきちんと子どもの特性に向き合いながら、明るい気持ちで子育てをしていくためのヒントを紹介していきます。

「わが子が気になる」ときの出口戦略

それが彼の個性なんだろうな、と受け止めていた

 仕事を持つ親は、四六時中子どもをサポートしたり、フォローしたりすることができません。ましてや、わが子に気になる言動があるとき、親はいったいどのようにフォローすればいいのでしょうか。小学5年生の男の子、小学2年生の男女の双子を育てながら、上場企業の広報担当として多忙な毎日を送る金原美由紀さん(仮名・40代)のケースから考えていきましょう。

 金原さんの長男は「小耳症」という先天性の障害があり、5年生のときに手術をするまで右耳が塞がった状態でした。さらに、小さな頃から特定の物や人への興味の偏りが強く、保育園に入園すると他の子と同じ行動ができなかったり、興味がないと部屋を飛び出したり、上履きが履けずに感情を爆発させてしまったりといった出来事が日常茶飯事に……。

 一方で、図鑑を読むのが大好きで、日本地図を見ながらそっくりに描き写したり、工作したりするのがとても得意だったといいます。

 「普段は優しく穏やかですが、自分の思う通りに物事が進まないと感情がコントロールできなくなるなど、こだわりの強い子でした。下の双子が生まれてからはさらにエスカレート。洋服も本人が気に入る物以外は拒否するので、同じ服を何着も買うこともありました」

 そうした行動は、耳の障害に由来していると、当時は考えていたという金原さん。

 「耳の聴こえ方が違うのだから、感覚も違って当たり前だろうと思っていました。スタート地点から他の子と違っていたので、言動についても特別おかしいとは思わず、それが彼の個性なんだろうな、と受け止めていたんです」

 言語能力にも問題がなく、定期的に診てもらっていた小児科医師からはっきりとした診断名を告げられたことはなかったそうです。長男の小学校入学を半年後に控えたタイミングで、金原さんは自治体の就学相談を受けることにしました。すると、さまざまなことが分かってきました。

「長男はこだわりが強く、絵を描いたり工作をしたりするのが得意でした」(写真はイメージ)
「長男はこだわりが強く、絵を描いたり工作をしたりするのが得意でした」(写真はイメージ)
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