中学受験「しない」親子の覚悟 過ごし方&進路設計は?
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6中受しないからといって子の学力を諦めるわけではない
「中学までは多様な環境で」が夫婦の方針
教育系出版社で進路情報誌や幼児向け教材の編集に携わった後、独立し、教育関係のフリーランスライターとして活動する佐倉京子さん(仮名)には、都立高校に通う男の子がいます。住んでいる都内西部は教育熱心な家庭が多く、クラスの半分が中学受験をするそう。佐倉さん自身も中学受験経験者で、国立大の附属中学校・高校で学びました。しかし、佐倉さん夫婦は息子に中学受験をさせませんでした。その理由は下の5つです。
「中受しない」ことについては、親が一方的に決めるのではなく、中学受験をしたときのメリットも伝えた上で、息子本人にも希望を聞いたそうです。中学受験をしないと決めてからは、高学年で多様な体験をさせるとともに、勉強についても日々のルーティンを定め、しっかり学習習慣が付くように息子をサポートしました。読書好きの子にするために、幼い頃から「ある作戦」を続けて、高学年以降も幅広いジャンルの本に触れさせ、特に歴史に関しては「親が教えられることがなくなった」とも言います。
公立中学校に進んでからは内申点対策について早めに意識付けさせ、内申点をアップさせるために定期テスト前に戦略会議をしたことが奏功し、息子は上位の都立高校を受験、無事、合格しました。佐倉さんの取り組みについて、順に聞いていきましょう。
1 中学まではいろいろな家の子がいる環境で学んでほしかった
2 教育費のかけどころは大学以降だと考えていた
3 地元の公立中学が息子に合っていそうだった
4 息子にぜんそくがあり、中学受験の勉強は無理そうだった
5 息子の性格が中学受験に向いていなさそうだった
1番目の理由について、佐倉さんは「受験をして入った中学では、クラスメートが似た者同士で均質化してしまうから」と補足します。
「公立中学には勉強が好きな子もそうでない子もいますし、家庭の事情もさまざまです。中学校までは、いろいろな家の子が集まる場所で学ぶ経験を持たせたいと考えていました。
また、2番目の教育費に関しては、私たち夫婦はお金のかけどころは大学以降だと考えていました。大学や大学院で何をやりたいかがはっきりしたときに、行きたいところを自由に選ばせてあげたい。留学をしたいなら行かせてあげたいと考えています。そのためにも、中学受験の塾代や私立の学費を使わずにためておこうという思いがありました」