「受験算数は難し過ぎ。小学生にこんなに猛勉強させるのってどうなの?」「受験せずに公立中に進んだとしても、“担任受けする子”が有利な『内申点制度』が待ち受けている。それにも抵抗が…」「そもそも、公立高校はいったいいつまで『一発勝負型の受験』を続けるのか」――。そんな数々の悲鳴が子どもの成長とともに付いて回る日本の教育制度問題。掘れば掘るほど湧き上がってくる疑問や不安を解消するべく、6人のオピニオンリーダーたちに総力取材しました。現状の制度を前に、私たちがわが子の将来のためにどのように制度に向き合い、考えていけばよいのか。その一助となるべく取り組んだ特集です。どうぞご期待ください。
教育後進国ニッポンの現在地
教育後進国ニッポンの現在地
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1教育後進国ニッポン 現状維持では日本は低迷の一途
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2内申書はブラックボックス 「評価材料は先生ごと」の怪
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3名古屋市教育長に聞く 「内申書改革」が急務の理由
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4「一発勝負型」の公立高校受験 理不尽さの正体は
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5学校の教育現場で「算数・数学嫌い」生む決定的要因
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6教育格差の解消は、すべての人の便益になりうる←今回はココ
「生まれ」によって生じる格差
「教育格差」という言葉を聞く機会が増えてきました。これは、「子ども本人が選べない、初期条件である『生まれ』によって学力や学歴などの教育成果に差がある傾向」を意味します。龍谷大学社会学部准教授の松岡亮二さんは、「生まれ」として保護者(以下、親)の学歴、収入、職業などを統合した概念である社会経済的地位(Socioeconomic status=SES)、出身地域、性別などを挙げます。
戦後の日本にも教育格差はすべての世代で存在してきたそうです。近年では、中学受験人気の過熱に伴う「進路選択機会の格差」、大学受験で一般入試の割合が減少して推薦入試が増加するなどトレンドが変化する中で、地域や通塾の有無によって最新事情を入手できるかどうかに差が出る「受験情報の格差」などの教育機会格差が話題に上ります。

写真はイメージです
両親ともに高い学歴を有し、経済的にも安定するなどして、わが子に十分な教育を与えられる家庭であれば、「わが家に教育格差の問題は関係ない」と、関心が持てないかもしれません。しかし、こうした「無関心は、教育格差の放置につながり、回り回ってすべての子どもの将来に悪影響を与える可能性がある」と松岡さんは警鐘を鳴らします。それはどんな影響なのでしょうか。また、教育格差解消に向けて、子育て中の親にできることはあるのでしょうか。
詳しくチェック
・データで確認! 親が「大卒」と「非大卒」で、子の四大卒業率に大差
・教育格差の現状と、放置によって起こる社会的な問題とは
・教育格差をなくすために、親ができることは
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