いろいろな「値上げ」が止まらない2023年。家計の負担は年間4万円の増加(22年度比)と試算されています。一方でキャッシュレスが浸透し、企業のポイント発行額の規模は1兆円を突破、今や疑似通貨としての性格を強めて見逃せません。そこで、家計簿アプリや各種ポイントの活用などで変わる家計管理の「シン常識」をまとめてご紹介。気になるFIREの準備にも家計管理は必須です。

家計の見直し&FIREのシン・常識

 家計を見直すためには、まず毎月のお金の流れを把握する必要がある。それは分かっているけれど、忙しい毎日の中で家計簿をつけるのは簡単なことではない。そこでテクノロジーの力を借りて家計を見える化できるのが、家計簿アプリだ。アプリを使えばどんなことができるのか、紙にはないメリットはあるのかなど、マネーフォワード ホームカンパニー執行役員COO(最高執行責任者)の木村友彦さんに詳しく話を聞いた。

家計簿はお金の流れを把握するのに大事だが・・・

編集部(以下、略) 私自身、今はアプリを利用していますが、過去には紙の家計簿をつけてみようと試みて挫折した経験が何度もありました。

木村友彦さん(以下、木村) そういう人は多いですよね。ただ、紙の家計簿をつけるにしてもアプリを利用するにしても、お金の流れを把握するのはとても大事なことです。

 私たちのグループ企業であるNextSolution社では、ファイナンシャルプランナー(FP)によるお金の相談サービスを提供していますが、利用者さんの初回の面談時に「毎月いくら使っていますか?」と尋ねると、多くの人は把握していないんです。

 家賃や携帯電話代は答えられますが、他の部分ではざっくりしか分かりません。何にいくら使っているかを把握することで、そのお金の使い方が有意義か、それとも無駄なのかを判断できるのです。

 その上で、紙の家計簿をつけるのって大変ですよね。1カ月に数回ならまだしも、お金は毎日のように使います。毎日きちんと家計簿をつけている人には尊敬しかありません。

 現代のテクノロジーを使えば、それを少しでも簡易的に管理することができます。それが家計簿アプリです。

 弊社の「マネーフォワード ME」もそうですが、「Zaim」や「Moneytree」といったアプリや、銀行で取引明細を取得して閲覧できるサービスなどを使えば楽ですし、買い物のレシートをスマホで撮るだけで支出の項目を分類でき、集計までできるので、タイムパフォーマンスを上げられます。

レシートを撮れば自動で集計、キャッシュレス決済を利用しているならクレジットカードや電子マネーの利用状況を自動で反映できるので、面倒な入力から解放されるだけでもアプリ利用のメリットは大きい
レシートを撮れば自動で集計、キャッシュレス決済を利用しているならクレジットカードや電子マネーの利用状況を自動で反映できるので、面倒な入力から解放されるだけでもアプリ利用のメリットは大きい

―― 自分の家計や資産を見える化するメリットをもう少し詳しく教えてください。