いろいろな「値上げ」が止まらない2023年。家計の負担は年間4万円の増加(22年度比)と試算されています。一方でキャッシュレスが浸透し、企業のポイント発行額の規模は1兆円を突破、今や疑似通貨としての性格を強めて見逃せません。そこで、家計簿アプリや各種ポイントの活用などで変わる家計管理の「シン常識」をまとめてご紹介。気になるFIREの準備にも家計管理は必須です。

家計の見直し&FIREのシン・常識

 2024年1月から「新NISA」が始まります。現行のNISAからどのように変わるのか、詳しい改正内容と40、50代の私たちはどのように対応していけばよいのか、ファイナンシャルプランナーの風呂内亜矢さんに教えてもらいました。

編集部(以下、略) NISAの制度は24年からどのように変わるのでしょうか?

風呂内亜矢さん(以下、風呂内) 大まかにいうと現行のものは「つみたてNISA」と「一般NISA」に分かれていて、それぞれに年間投資可能額が設定され、非課税保有期間も20年や5年と定められていましたが、24年からはそれらが一本化され、年間投資可能額は増額、非課税保有期間は無期限となります。そのため「新NISA」は「NISAの恒久化」とも表現されます。

風呂内亜矢
風呂内亜矢
ふろうち・あや/1978年生まれ。岡山県出身。CFP(R)、1級ファイナンシャルプランニング技能士。テレビ、ラジオ、新聞などでお金に関する情報を解説するほか、20冊以上の書籍を監修・執筆する。YouTubeチャンネル「FUROUCH vlog」では、お金に関する情報も発信。主な著書に『超ど素人がはじめる資産運用 第2版』(翔泳社)など

―― そもそもなぜ今回、改正となったのでしょうか。

風呂内 14年に開始されて以来、これまでもNISAはさまざまな改正を経ています。まず14年に税制優遇口座「NISA」ができ、18年に「つみたてNISA」という選択肢が追加されました。これによって、もともとあった「NISA」が「一般NISA」と呼ばれるようになりましたが、今回の改正によって再び「NISA」として一本化されることになったんです。

 限られた投資可能期間、非課税保有期間や少額の非課税保有限度額に対し、長らく個人投資家や金融庁など各方面から延長希望や増額希望の声が上がっていたというのも影響し、今回の改正に至ったようです。

現行NISAでは「つみたてNISA」と「一般NISA」はどちらかしか選ぶことができなかったが、新NISAでは「つみたて投資枠」と「成長投資枠」の併用も可能になる
現行NISAでは「つみたてNISA」と「一般NISA」はどちらかしか選ぶことができなかったが、新NISAでは「つみたて投資枠」と「成長投資枠」の併用も可能になる

―― 今まで、「つみたてNISA」や「一般NISA」で投資してきたものを「新NISA」に移管することも可能なのでしょうか?

風呂内 それはできないんです。ただ余力がある方には有利な状況です。23年末までは現行NISAの投資可能額をフルで投資し、24年からは並行して「新NISA」を開始すれば、新NISAから始める人よりは、より多くの資金を非課税で投資できた状態をつくることができます。

―― 余力がなくても、今までNISAで運用していた人は新NISAも追加で運用すべきなのでしょうか。また、今まだNISAで運用していない人は、24年の新NISA開始を待ったほうがいいでしょうか?

風呂内 それを考えるにはNISAだけでなく、iDeCo(個人型確定拠出年金)も意識しながら検討する必要がありそうです。その人のライフスタイルや年齢などによって判断は分かれると思います。ここからは便宜上、年齢などを区切って一般的なものとして説明していきますね。