中学受験に向け、受験生としてがんばる6年生、勉強の中身が本格化する5年生、そして塾通いをスタートさせた4年生と、状況は異なるものの、学年を越え共通する心配ごとの一つが、わが子の「成績の低迷」です。低迷が長引くと、連動して子どもの「やる気」も低下してしまうケースが散見されます。一喜一憂すべきでないと分かっていても、いつ成績が浮上するか分からず、出口が見えない現状には、親側の不安が募るばかりではないでしょうか。成績とやる気が急降下、あるいは踊り場の状態からどのようにすれば脱することができ、最後に合格をつかめるのか。本特集では、そのための正しい原因と対策を探っていきます。

中学受験 途中まで成績低迷でも最後に合格つかむ親子の共通点

成績低迷の原因はむしろ「親側」にある

 中学受験勉強の最中に、わが子のやる気や成績が低迷していると、つい厳しく叱ってしまう、という経験はないでしょうか。しかし、「子どもの成績が伸びない場合、親側に問題があるケースが多い」と話すのは、中学受験プロ家庭教師の長谷川智也さん。「中でも親の声かけ一つで、子どもの成績低迷が長引くかどうかが変わってきます。子どもの前での親のあり方は子の成績に大きく関係するのです」と話します。

 「親のほうが成績の良しあしに感情的に反応してしまい、模試の結果を見るときに『スマホでボタンを押す手が震える』と言う人がいるほど。毎回の模試の成績は気にせず、むしろ『長い受験勉強生活の中で、停滞時期があって当たり前』くらいに、どんと構えている親御さんの場合は、お子さんも強いと感じます」

 成績低迷を続ける子どもの家庭は、「模試の結果が出てから、親御さんがジタバタしているケースがほとんど」だと長谷川さんは指摘します。

 「模試の結果は、その前の2カ月程度の勉強の取り組みが反映されます。それなのに、模試の結果が出てから問題を認識しているようでは遅いのです。

 模試を受ける数カ月くらい前から『宿題をずっとやっていなかった』『授業の3割くらいしか理解できていなかった』『毎朝やるはずの計算問題に取り組んでいなかった』など、何かしらのサインはあったはず。

 模試を受けてから点数を取れていないと叱っても、改善につなげるのは正直難しい。先に問題を把握し、改善策を練って取り組んだ上で、模試でその成果を試すのがよいサイクルなのです」

 さらに、年間200組以上の親子に接してきた中で、「成績もやる気も落ち込んだ子どもが、親にどう接してほしいかは子どものタイプによって異なる」のだといいます。

 「『いちいち励まされるなど、べったりされるのは面倒』と嫌がる子もいますし、声をかけ続けてほしい子もいます。子どものタイプに合わせた声のかけ方次第で、低迷期を早めに脱することができる、それくらい親が子にかける言葉は大事です」

 また、近年の中学受験は、大手塾の基本戦略の影響もあり、「家庭でのフォローがより重要で、今後ますます親の出番が増える傾向にある」といいます。

 成績ややる気が低迷し、「踊り場状態」にある子に対して、親はどのように接したらよいのでしょうか。子どもに声かけする際の基本の考え方と、タイプ別に見るおすすめ&NGの声かけについて詳しく聞いていきます。

この記事で分かる「親の声かけ」のヒント

・絶対に避けるべきは子どもを○○する言葉
・誰かと比べる、○○条件を出す言い方で改善が遠のく
・成績低迷時に心掛けたい、子どもの特徴に合わせた声かけは