Z世代リーダーの頭の中&仕事術
-
1Z世代を知るキーワード4つ「特別扱いはされたくない」
-
2元楽天IR部長×Z世代起業家 高い年収より大事なもの←今回はココ
-
3「うちにLGBTはいない」という人や組織を動かす言葉
-
48歳で単身中国留学 身に付けた自分軸と本当の自己責任
-
5ショパンコンクール挑戦は「リーダー反田恭平」の戦略
-
6社員全員に起業を勧めるZ世代社長「対等な関係がいい」
Z世代の特徴の一つに、「自分がやるべきこと」を実現するために若くして起業する道を選ぶ人が多いことがあります。2016年、22歳のときに日本初のダイバーシティ求人サイト「JobRainbow」を立ち上げた星賢人さんもそうした一人。楽天で長年IR(投資家向け広報)を担当し、多くの投資家や起業家と対話を重ねているマーケットリバー代表取締役の市川祐子さんが、「失われた30年」に育まれた新しい価値観と社会を変える力に迫ります。異世代リーダー対談、2回に分けてお届けします。
マーケットリバー代表取締役
JobRainbow代表取締役CEO
「失われた30年」と私たちは言うけれど…
市川祐子さん(以下、市川) 私は1970年生まれで、社会人になったのが93年。星さんが生まれた年です。これは昨年出版した本にも書いたのですが、ある知り合いの93年生まれの男性は、「失われた20年とか30年っていう言い方が好きじゃない」って言うんですね。
私たちが大学生の頃はバブル景気で、就職活動中にバブルがはじけました。それ以降、経済の低迷や景気の横ばいが続いていることを「失われた○年」と言うようになったわけですが、93年に生まれた人にとっては「バブルの頃は学生が高級車を乗り回していてさ」なんて話を聞いても、都市伝説にしか聞こえないんですよね。
星賢人さん(以下、星) 本当にそうです(笑)。
市川 あと、私たちが就職したときはレールに乗っていくような感じがあって、1回降りたら二度と戻れませんでした。女性は結婚や出産で一度仕事を離れたらずっと専業主婦かパートで、男性も何かの理由でレールを降りたり、レールに乗れなかったりしたらずっと非正規、みたいな感じです。でも今は、違うレールに乗ってもいいし、途中で1回休んでもいいし、新しい道を自分でつくってもいい。自らが船の船長になり、航路を決めて海原にこぎ出す起業家の道もあって、若くして起業すること、リスクを取ってチャレンジすることがだんだん一般的になってきているように思います。
そういうさまざまな動きが世の中を活性化しているのに、昔からある大企業の勢いが薄れたからといって、「失われた」なんてネガティブな言い方をするのはおかしなこと。新しい価値観や経済的な価値に目を向けないのはバランスを欠いているし、失礼ですよね。
星 「失われた30年」って、経済的なたった一つの指標で見たときの評価にすぎないし、日本でこの時代に生まれ育ったからこその価値観があると思っています。