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「社内でLGBTの話は聞いたことがないから、ニーズはない」
市川祐子さん(以下、市川) 星さんが2016年に起業した頃は、企業にLGBTフレンドリーな採用を行うことや、LGBTが働きやすい環境づくりなどを提案したときの反応ってどうでしたか?
星賢人さん(以下、星) 最初は門前払いが基本でしたね。まず、LGBTがほぼ誰も知らないワードだったので、「何を言っているんだろう?」という反応でしたし、「(BLTに似ているので)サンドイッチですか?」と言われたこともあります。今は使われていない言葉ですけど、テレビで見かけるオネエとかオカマみたいな、ちょっと色物的な扱いもされたりしました。
行政にもアプローチしているのですが、とある区役所のダイバーシティ担当の人と話をしたときに、「うちの区は家族世帯が多いので、LGBTはいません」と言われてがっくりきてしまったこともあります。
18年ごろからやっと売り上げが立ってきて、自分も大学院を修了して、それから資金調達も受けたという形ですね。でも去年くらいまでは、投資家の方から「マーケットが小さすぎる」、社員1万人くらいの上場企業の人事担当者には、「うちはそういう話は一度も聞いたことがないから、ニーズがないんです」などと言われていました。
市川 それは、ニーズがあるのに見えていないだけですよね。
星 そうなんです。人事が「うちにはLGBTがいません」と言っている会社の中で、当事者が声を上げられるかといったら無理なんですよ。つまり、取り組みを行う会社はやればやるほど課題が見えてくるし、やらない会社はいつまでたっても何も見えてこないんです。
ただ、ここ1年でインパクトが特に大きかったのが、今年2月の首相秘書官によるLGBTや同性婚についての差別的発言です。あれで初めて企業からものすごい数の問い合わせが来ました。「うちにもああいう発言をしている人がいる。外に漏れたら株価が落ちるどころの話じゃない」と。皮肉な話ですが、3月は過去最高の売り上げになりました。
市川 それは、うれしいんだか、うれしくないんだか、複雑ですね……。