子どもの「自走力」が育つ家庭の習慣
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1本当に必要な自走力と親が求める自走力の違いは
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2親野智可等 親がやってあげても自走力は育つ
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3ビリギャル小林さやか 子の自走に唯一必要なものは
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4自走する子どもの親は、勉強にどっぷり関与しない
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5低学年のおうちモンテッソーリで自分から宿題をする子に
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6当事者意識を育むコンサルママのオーナーシップ子育て←今回はココ
子どもが抱いた興味、疑問から当事者意識を育てていく
働く親たちは子どもの自走力をどのように育んでいるのでしょうか。特集最終回では「オーナーシップ子育て」をポリシーに小6、小4、小2の3姉妹を育てている、経営コンサルタントの髙嶋舞さんに取材しました。髙嶋さんは愛知県岡崎市が運営する産業支援拠点「岡崎ビジネスサポートセンター」のセンター長。中小企業の経営や起業支援に取り組んでいます。
髙嶋さんが実践するオーナーシップ子育てとは、何ごとに対しても当事者意識(オーナーシップ)を持ち、自分で考えて動ける子を育てるということ。学校の準備や宿題といった日々の「しなければいけないこと」に対して自分事として向き合う力だけでなく、興味や関心の対象に対して主体的に取り組む力も意識しているそうです。まさに、本特集で考える自走力を目標に子育てをしているワーママです。
髙嶋さんがオーナーシップを大切に考える背景には、人生は決して安定ばかりではないという実体験があります。
「私が高校生の時に、父や親戚がリストラに遭いました。今は激動の時代で、大企業に就職しても、一生安定ではないといわれていますが、私はそれを20年ほど前に目の当たりにしたのです。
今の経営コンサルティングの仕事を通しても、社会の不安定さを感じることがあります。しかし、うまくいかないことがあったとしても、社会情勢や会社のせいにせず、『ここが悪かったから次はこう改善しよう』と自分で考えて決断し、行動できる人は幸せに近づいていっています。
今後、子どもたちが社会に出たときも、同じようなことがないとは言えません。そのとき、社会への不満を持つのではなく、自分で幸せに近づくサイクルを回せるようになってほしい。そんな思いの下に、長女が生まれた時からオーナーシップ子育てを始めました」
髙嶋さんが心がけているのが次の4つの要素をつなげていくことです。
1 課題意識を持つ
2 自分なりに考える
3 行動する
4 PDCA(計画・実行・評価・改善)をとにかく回す
例えば、学校へ忘れ物をしないようになるために、髙嶋さんは子どもが忘れ物をしても、届けることはしません。それは子どもが課題意識を持つためです。次に、忘れた理由や忘れない方法を子どもに考えさせます。その考えに対して親はダメ出しをせず、子どもの思ったように行動させます。うまくいけば解決。また忘れてしまったら「どうしてだろうね」と考えさせて、新しい案を試させます。
自分で宿題をする時間を決めて、実行できるようにする際にも、やはりこの4つのステップを踏まえています。もちろん、小学校1年生からスムーズにできたわけではないそうです。試行錯誤した結果、最初は親が横について大きくサポートしてあげて、学年が上がるにつれて徐々に、手を離していくというロングスパンでの取り組みになったのだそう。髙嶋さんの子どもたちが実践する、学校の準備や宿題への取り組み方は次ページから詳しく紹介します。
髙嶋家のこうしたオーナーシップ子育ての中で、現在小6の長女は「本を書きたい」という夢をかなえて絵本を出版。小2で出版した1冊目の『しょうがっこうがだいすき』(Gakken)は、自費出版からのスタートでしたが注目を集め、商業出版化されました。多様性をテーマにして2022年9月に出版した2作目では、台湾のデジタル担当相、オードリー・タンさんにオンラインでインタビューしたことが話題を呼んでいます。小4の次女も家庭起業から発展して、今はオリジナルブレンドのコーヒー豆をオンラインで販売しています。

・親にメリットがある、宿題についての質問法
・オーナーシップ子育てを外へ広げる理由
・親が意識すべき「オーナーシップ子育てのルール」